1998年度
−意見書・要望書−

文書名 「今後の障害者保健福祉施策の在り方について(中間報告)」に対する意見について
日 付 1998年4月22日
発 番 JD発第98−5号
発信者 日本障害者協議会 代表 調一興
宛 先 厚生省 障害保健福祉部 部長 篠崎英夫

 平素より、障害がある人々の保健・福祉施策の増進にご尽力されていることに対しまして、心より敬意を表します。また、当協議会活動に深いご理解とご支援をいただき、改めてお礼申しあげます。
 さて、昨年12月9日、障害関係三審議会合同企画分科会(以下「合同企画分科会」)から「今後の障害者保健福祉施策の在り方について(中間報告)」(以下「中間報告」)が発表されましたが、当中間報告には「障害者プラン」をさらに発展させるいくつかの積極的な内容が含まれていました。例えば、障害の種類と年齢に関わらず障害者保健福祉サービスの決定権限を市町村に揃えるとしていること、市町村圏域・障害保健福祉圏域・都道府県域の基本的役割の整理がなされたこと、権利擁護のためのいくつかの具体的な提言を行っていること、精神障害者へのホームヘルプ制度などの導入を提言していること、家族のレスパイトのための事業を提言していること、社会参加促進事業・センターの総合化を提言していること、施設の相互利用の一層の推進と障害児通園施設等への一本化を提言していること、三審議会の統合を提言していることなどです。
 しかしながら、合同企画分科会に期待されている歴史的な役割からみると、全体としては不十分な内容であり、本協議会および加盟団体の多くは失望せざるを得ませんでした。つまり、合同企画分科会は、1993年12月の障害者基本法改正、1995年12月の障害者プラン策定、1996年7月の障害保健福祉部の創設などを受けて1996年10月に設置されたものであり、障害者の地域での自立と社会参加に必要な保健福祉サービスを、障害の種類を越えて総合的に提供する基本的な方針と具体的な提言を期待していたのです。
 そもそも障害保健福祉部の創設は単なる行政改革の結果ではなく、また単に障害種別の施策間の整合性の確保のためでもなく、基本的には「更生」から「社会参加」への「目的」の発展によるものであり、「機能・形態障害」から「社会的不利」への「対象」の移行を反映したものであるはずです。
 つきましては、本協議会としては、当中間報告に対する意見として、下記の問題点・課題点を指摘いたしますので、今後の合同企画分科会における議論に反映していただきたく、お願い申しあげます。


1.全体として数的目標が示されておらず(障害者プランの数値目標は不十分)、障害者施策の計画化・数量化の時代に求められる専門的な答申の水準に照らして問題があること。
2.「・・・であるが、・・である」の表現が多く、異論への配慮のあまり意図不明文が多いこと(例えば、「外国で進められている施設の小規模化の日本への導入には慎重な検討を要するが、・・・いっそうの小規模化を図る・・・」など)。
3.市町村の重要性については強調しているものの、策定が遅れている市町村障害者計画についてはひとこと「策定が望まれる」とするのみで、全く熱意が感じられないこと。
4.「障害者の保健福祉サービスに関する総合法制」については「総合法制の制定を求める声があるが、法の内容が必ずしも明確になっておらず、・・・」と傍観者の立場に終始しており、障害保健福祉部の創設や合同企画分科会の設置の意義を理解していないこと。
5.障害者の介護サービスについて、自立と社会参加を目指しているはずにも関わらず、ADL中心の介護保険のサービスとくらべて「遜色のない」程度でよしとしていること。
6.保健福祉の関連分野として重要な所得保障については、生活保護に依存しなくもよい水準の給付額とする課題にふれておらず、無年金障害者の救済については障害者プランからも後退していること。
7.自閉症について、「知能指数に関わらず援助の必要な者は精神薄弱者福祉施策の中で対応している」という社会援護局更生課の説明(「障害者の福祉」1994.2、pp.6−10)があるものの、療育手帳制度は1973年のままであり、自費で通所授産を利用している自閉症者等の現実を問題としていないこと。
8.社会参加にとって重要なガイドヘルパー制度の充実と、その知的障害者等への拡大に全くふれていないこと。
9.グループホームが地域生活支援に果たす役割は大きく、その量的拡大とともに、重度者用、重度・中軽度者混合用、近隣アパート分散型など多様化を提言すべきであったこと。
10.知的障害者及び精神障害者の新たな生活施設の検討という提言については、ノーマライゼーションの理念及び諸外国の経験からして逆行的であり、新たな「施設」としてではなく、多様な機能・形態のグループホームを含む地域生活支援の場で対応すべきであること。
11.小規模作業所への自治体補助事業を地方交付税で支援するなどの積極的な提言がなされているが、さらに、複数の作業所が合計で定員を満たす場合や木造・借家での運営も認める等法内施設化への抜本的な方策を提言すべきであること。
12.精神障害者へのホームヘルプ制度の導入は提案されているが、身体障害者相談員制度と同様の民間相談員制度、日常生活用具としての電話、地域利用施設としての当事者運営によるクラブハウス等がふれられていないこと。
 特に、精神障害分野は医療制度の「通所中心医療への移行」、「地域ケアに向けてシフトする方針」に踏み込むこと。
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文書名 無年金障害者の救済等に関する要望
日 付 1998年6月2日
発 番 JD発第98−21号
発信者 日本障害者協議会 代表 調一興
宛 先 年金審議会(会長、委員)

 年金制度の未来に対する国民の期待と不安の高まる中で、年金制度改革に向けての皆さまの精力的な取り組みに、障害者団体といたしまして深く感謝し、お礼を申しあげます。
 私たち日本障害者協議会は、どのような障害があっても、すべての障害者が親の援助・扶養から自立した地域生活を送ることができるよう、所得保障制度の整備を求めてまいりました。障害者の最大のテーマは親からの経済的自立にあります。
 しかし、全障害者500 万人の内、障害年金受給者は173 万人であり、その数は全年金受給者(3,360万人)のわずか5%にしか過ぎません。また、障害年金受給者の8割が障害基礎年金グループ(月額1級:83,283円、2級:66,625円)であり、年金だけで生活はできません。親から離れるとき、多くの人は生活保護を平行して受給することになりますが、いずれ将来的には年金をバネに経済的自立を遂げたいというおもいも抱いています。
 最も深刻なのは、本人の自己責任を問えない様々な理由から無年金になった方々です。障害は発生の時期がいつであれ、不測の事態でもあります。それに対応する「障害年金」制度で、なぜ、無年金者が多く生じたのか、制度上の欠陥はなかったのか、現行制度内での救済方法はないのか、どこを制度改正すべきなのかなど、真剣な審議を心から期待いたします。
 つきましては、審議の中で下記の点を掘りさげ、救済策を大胆に提起して頂きたく強く要望いたします。


1.過去の「任意加入制度」によって生じた学生・主婦・在外邦人などの無年金障害者を救済してください。
・国民皆年金をねらった国民年金が、学生・主婦・在外邦人を強制加入から除外(任意加入)し、免除制度からもはずしたことで、大量の無年金障害者を生み出しました。
・例えば、学生で任意加入していた学生はわずか1%という現実から見ても、任意加入と障害年金の関係を、行政が国民に周知徹底させていたとはとても思えません。また、1991(平成3)年<任意加入廃止>後においても学生の保険料納付の状況は約5割であり、保険料を学生や親に拠出させる制度は抜本的な見直しが必要であることがわかります。この点からも拠出能力のない学生に、「任意未加入の責任」を問うことはできません。従って、学生無年金者については「20歳前発障の障害基礎年金受給者」と同じに扱うように現行制度上での弾力的対応をすべきです。
・以上の理由から、任意加入制度の問題として過去に生じた無年金障害者のうち、学生に対しては制度の弾力的対応を、主婦や在外邦人に対しては制度改正をして障害年金を支給すべきです。
2.「適用除外」とされた在日外国人の無年金障害者を救済してください。
・国籍要件撤廃前に発障していた障害者は、自己責任を問うべきものではなく、制度上の欠陥からの無年金者ということができます。当然救済策を講じるべきです。
3.受給資格を満たしながら「無年金状態」にある障害者に、運用面の改善をはかり年金を支給してください。
・内部障害、難病、精神障害など病状がつかみにくく、発病から受療、そして年金請求手続きまでに長時間を要しがちです。その結果、カルテの保存期限が過ぎたため「初診日」の証明が得られず、加入・納付要件を満たしながら年金受給に至れない人々が大勢います。
4.受給資格を満たしながら年金窓口職員の不適切な指導で「無年金状態」にある障害者を緊急に救済してください。
・初診日によって異なる受給資格の確認や、1994(平成6)年に行われた過去に生じた無年金者の救済(旧制度の人にも現行の3分の2要件を当てはめる)に関する年金窓口職員の不十分な認識から間違った解釈・説明が行われがちです。そのことによって受給資格を有しながら「無年金状態」におかれている障害者が大勢います。
・年金窓口職員が障害者の立場に立って年金制度運用の適切な援助ができるよう、知識の徹底と資質の向上を図るよう職員の研修と、手話通訳や障害への知識を持った職員を配置するなど相談援助体制の整備をしてください。
5.障害年金の認定業務の適正化を図ってください。
・適正であるべき認定業務において、国民年金では等級認定に県格差があり、厚生年金においては極端な3級への偏りが目立たちます。不支給決定や等級に対する不服を申立てる審査請求は多く、特に厚生年金において3級を不服とする審査請求・再審査請求が増えています。
・適正な認定が行われるよう認定業務・システムの抜本的見直しをしてください。
6.公平で民主的な不服審査制度(審査請求・再審査請求)の確立をして下さい。
・単独の審査官が行う第一審(都道府県)の限界、地方の人にとって利用しにくい全国一か所での第二審(国)の問題など、早急に改善を図るべきです。
・そして、不支給決定や等級認定への不服に対して、個別事情と認定基準を照らし合わせて適正な障害評価ができる機能を不服審査制度の上で確立してください。
7.障害者の生活実態を適正に評価できる障害認定基準へ抜本的な改善をしてください。
・現在の障害認定基準は、軽度の知的障害・精神障害・神経難病・とう痛など客観的な評価の困難なものは実際の障害より軽く評価されてしまいます。
・障害評価の基準を生理的・日常動作的いわゆる機能障害中心から、社会生活上の能力障害と家族の介護・扶養からの独立,更に稼得の状態の把握などを含んだ「社会生活自立能力」という包括的な障害認定基準への改善を図るべきです。
・そのための全国的な障害者の実態調査や障害認定基準改正に向けての検討会を早急に立ち上げる必要があります。
8.社会連帯感に基づいて年金制度改正が進められ、障害年金制度の改善点として無年金障害者の救済が行われるよう期待します。
・国民年金制度の持つ<社会的扶養=社会連帯>の考え方によって障害年金制度も支えられ、改善されてきました
・現在の国民の中に蔓延し始めた公的年金ばなれを遺憾であると同時に危機感を抱きます。年金制度は国民と国の信頼関係に基づく社会保険制度の土台でありその中でこそ障害年金制度も支持され、改善が可能になります。以上述べてきた無年金障害者救済を中心とした要望項目は、国民と年金制度のあり方を問い、信頼感を回復するものでこそあれ損ねるものではないと考え、その実現を強く訴えます。
9.その他として次のことを要望いたします。
@障害基礎年金額を生活できる基準に引き上げてください。
障害者の最低生活保障の水準(その地域の実態に即した住宅扶助費の支給を含めた生活保護基準など)を満たす金額に引き上げてください。
A「子の加算」は全ての子に支給してください
障害基礎年金受給開始時(若く結婚していない場合が多い)の子にしか加算がつかない制度を改め、その後生まれた子も対象にしてください。
B障害者の老齢年金支給年齢を引きさげてください。
障害によっては早期老齢化が進みます。加入期間の長さ(例えば20年)だけで年齢を問わずに支給する若齢老齢年金の復活をしてください。
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文書名 「成年後見制度改正に関する要綱試案」に対する意見
日 付 1998年7月17日
発 番 JD発第98−37号
発信者 日本障害者協議会 代表 調一興
宛 先 法務省民事局参事官室

1.総論的問題

 法務省法制審議会民法部会成年後見小委員会より発表された「成年後見制度改正に関する要綱試案」(以下「要綱試案」という)では、自己決定の尊重の理念と本人の保護の理念との調和を旨として、三類型(補助、保佐、後見)の成年後見類型の設定、成年後見人の職務として「本人の身上に配慮すべき旨の身上監護に関する一般的な規定」の新設、本人の意志(委任契約)に基づく「任意後見制度」の新設(法制化)が提案されており、本協議会はそれらについて高く評価し、その実現を求める。
 この制度については、従来の制度(禁治産・後見制度、準禁治産・保佐制度)の拡大ではなく、新たな制度の創設という意味で検討を加える必要がある。ここでは、従来の保護主義を脱して、その理念とする本人の自己決定権を極力尊重すべきことはいうまでもないが、そのことと本人保護を現実的にどう調整するかという根本的問題がある。
 さらに、障害者の人権擁護の立場からは、要綱試案で示された成年後見制度だけでは不十分であり、福祉・労働・教育・所得・交通・住宅等実生活分野での障害者の法的権利を確立し、地域レベルで活用できる権利擁護制度の創設が必要とされる。


2.各論的問題

(1)本人の自己決定権尊重と本人保護との調整
 判断力の不十分な成年者に対する「自己決定」(本人の意思尊重)と「保護」との関係については、最大限、前者を尊重することが重要である。
(2)適用対象者の認定・鑑定方法
@医学的な判断、すなわち機能障害や能力障害の基準のみではなく、社会的な権利擁護ニーズの観点からも判断すべきである。このため、医師に加えて、福祉関係者を関与させるべきである。
A特に、補助類型における認定では、本人の能力についてマイナス面だけでなく、プラス面も評価し、多様な角度からの判断が必要である。
B各類型または類型の変更の場合の鑑定、認定、診断方法を具体的にどうするかについては、慎重に検討される必要がある。
(3)成年後見人の人材確保と養成
@成年後見人には新しい成年後見制度の理念についての正確な理解が必要で、その職務の重要性にかんがみ、成年後見人にふさわしい、広く深い見識や知識経験をもつ人材を確保することが重要である。そのためには成年後見人の事前研修、定例的研修その他時宜に適した多様な研修を実施する必要がある。また、家族が成年後見人になる場合も同様である。
A特に、本人と利益相反関係にある者が成年後見人になることは適当でない場合があることに留意されなければならない。
B成年後見監督人の職務(特に複数の成年後見人がいる場合等)も重要で、これについても多様な研修が必要である。
(4)成年後見人、成年後見監督人に対する報酬の問題
 所得の低い障害者の場合、成年後見制度を利用する権利が阻害されないような配慮が 必要で、その所得・資産に応じた報酬額の段階的設定、それを補充する公費負担の導入がなされるべきである。
(5)法人成年後見人制度の問題
@法人組織によって成年後見ができるという意味では評価できるが、その法人の選定にあたっては慎重にすべきで、本人に直接サービスを提供している法人や本人と利益相反関係にある法人にはこの資格をもたせてはならないことを明記すべきである。
A権利能力なき社団である障害者団体等にも資格を付与すべきである。
(6)成年後見開始の申立権者
 社会福祉事務所や保健所の長という意味もこめて、都道府県知事または市区町村長にも申立権を認めるべきである。
(7)その他の問題
@成年後見人の職務について「本人の身上に配慮すべき旨の身上監護に関する一般的な規定」の新設及び本人の意志(委任契約)に基づく「任意後見制度」の新設は高く評価し、これを実施しながら経験を積み重ね、制度の充実を望む。
A成年後見開始決定等に関する公示方法は、基本的人権の尊重という観点から、戸籍への記載以外の方法がとられるべきであり、登録センターの設置等を強く望む。
B身体障害者を補助類型の対象に含めることの適否については、この制度が判断能力の不十分な障害者等を対象に全体が構成されているという観点及び自己決定の尊重という観点から、障害者の判断能力と表現能力との問題を区別し、含めるべきではないと考える。
C成年後見制度における資格制限については、各資格に許される職務の遂行に必要な技能水準によって決されるものであり、障害を有しているという属性のみを理由とした制限は、法令上撤廃するべきである。
D知的障害及び精神障害を含む障害当事者及び関係者の参加する委員会等での検討を踏まえ、法律改正5年後をめどに、本制度の見直しを実施すべきである。
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文書名 「社会福祉基礎構造改革について(中間まとめ)」への意見(概要)
日 付 1998年8月5日
発 番
発信者
宛 先 厚生省 社会・援護局長 炭谷茂

T.全体的な意見
1.タテ割制度から横断的・総合的な方向への転換促進
2.家族形態ならびにその機能の変化に伴う新たな視点での施策推進
3.(前項と関連しながら、)現行の障害者施策は、依然として家族依存・入所施設依存のレベルにあり、本格的な社会支援システムの構築が図られなければならない。
U.個別的な意見
1.社会福祉事業・施設整備
 障害者を対象とした法定施設(約40種類)が全く設置されていない市町村は60 %以上にも及ぶ。一方、社会福祉施設についての設置主体(責任)は誰が担うのか、 この点が法制上明確になっていない。量的な問題(絶対数不足・地域遍在)の解消は 「基礎構造改革」の中心課題とならなければならないのでは。
2.社会福祉法人
 社会福祉法人の設立にあたって、「資産要件の緩和」とあるが、これについては賛意を表したい。ただし、その内容がどのようなものなのか。
3.市場原理・競争原理
 障害者施策と市場原理・競争原理の関係については、慎重な対応が求められる。少  なくとも@選択肢の確保A一定の所得水準B情報の公開性・公平性、などが前提条件 となるもので、現状において障害分野への市場原理・競争原理の導入は考えられない。
4.措置制度
 措置制度の解消が公費削減を誘導するものであってはならない。法律や制度面で未熟さが目立つわが国の障害分野において、現状で措置制度の全面的な解消は考えられない。手厚い公的資金を担保し、かつ選択性が尊重されるなどの見直しが必要(制度呼称含めて)。
5.その他
・所得保障施策の根本的な見直し
・精神障害者施策については、特別の促進策
・速度感のある対応
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文書名 平成11年度障害者施策予算に関する要望について
日 付 1998年9月30日
発 番 JD発第98−55号
発信者 日本障害者協議会 代表 調一興
宛 先 自由民主党 総裁 小渕恵三

 平素より、障害者施策の増進に深いご理解とご支援を賜り、心より感謝申しあげます。
さて、社会福祉基礎構造改革を中心に、わが国の社会福祉分野に関する法制度は、今大きな転換期をむかえております。年金法や医療保険制度の改正作業も足早に進められ、2000(平成12)年の介護保険制度の施行とともに、21世紀にむけた新たな社会保障制度が確立されようとしております。
 また、これまで懸案であった成年後見制度の改正や各種法律における障害を事由とした欠格条項の見直し作業、精神保健福祉法の定時改正作業なども進められており、障害者分野においては、これを好機として捉え、関係行政当局に対しまして積極的に提言しているところであります。
 加えて、来年度は障害者プランの中間年であり、2002(平成14)年度の完全達成にむけて再跳躍する節目の年度と考えております。
 現在、わが国の財政状況は極めて深刻な事態に直面していることは重々承知しておりますが、立ち遅れの目立つ障害者施策を、障害者プランの達成とともにいかにして好転させていくか、このことも緊急かつ重要な政治課題であると認識しております。
 つきましては、平成11年度障害者施策予算の編成にあたりましては、特に下記事項につきまして特段のご配慮を賜りますよう、お願い申しあげます。


1.障害者プランの完全達成に向けて、必要な予算を確保してください。
 また、各省庁参画もとでの中間見直しを早急に行ってください。
 特に、厚生省所管施策の数値目標については、実態を反映したものに改めてください。
2.市町村障害者計画の推進を図るための緊急方策を講じてください。
 特に、これを実質化していくための法的措置として、障害者基本法を改正してください(第7条の2の2および3を見直し、「努力規定」から「義務規定」に改めるなど)。
3.障害者の社会的自立に必要な所得保障制度を確立してください。現行の障害基礎年金の水準ではあまりにも不十分であり、新たな視点での所得保障制度の創設が求められます。
 なお、当面の課題としては、明年の年金法改正に際して、無年金障害者問題の解消、年金額の引き上げを図ってください。
4.現状の施設制度・施設体系について、簡素化・総合化・地域化の視点から、これを根本的に見直してください。
 特に、小規模作業所問題の解消、重度・重複障害者ならびに精神障害者を対象とした通所型施設制度の創設を図ってください。
5.安心かつ安定した地域生活が送れるよう、障害者の社会的自立や社会参加を促進する介護制度を確立してください(公的介護保険制度の施行時期にあわせて)。
6.すべての障害者を対象とした、実体法としての「障害者福祉法」(仮称)を制定してください(現行の実体法は、身体障害者福祉法、精神薄弱者福祉法、精神保健及び精神 障害者の福祉に関する法律に分かれているが、これを一元化する)。
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文書名 障害年金の改善と「生活できる所得保障」の確立を求める緊急要望書
日 付 1998年10月9日
発 番 JD発第98−59号
発信者 日本障害者協議会 代表 調一興
宛 先 政党(自由民主党、民主党、公明党、新党平和、日本共産党、自由党、社会民主党)党首

 貴政党におかれましては、日ごろから障害者の生活に関わる諸問題にご尽力をいただき、深く感謝を申しあげます。
 当協議会は、国際障害者年(昭和56年)の前年に結成された「国際障害者年日本推進協議会」を前身に、障害者の権利拡大に関わる幅広い運動を進めてまいりました。
 中でも最重点課題の一つに「所得保障の確立」を位置づけ、国民「皆年金」制度の整備、障害年金の拡充、無年金者の救済を軸に、長年運動を続けてまいりました。平成6年の年金制度改正では無年金者の一部が救済され、衆参厚生委員会では、無年金障害者の所得保障は「福祉的措置も含めて速やかに検討すべし」という附帯決議がなされました。「障害者プラン」においても、無年金問題の解決の必要性が明示されました。こうして無年金者の存在は社会問題の一つとなりました。
 「生活できる所得保障」の中心は障害年金です。「所得保障の確立」はすべての障害者にとって家族の介護・扶養から離れ、社会的自立を遂げるうえでの基本要件であり、生存権保障の基盤でもあります。
 しかし、昨年12月、厚生省は国の責任を放棄し、国民の年金離れに拍車をかける以外のなにものでもない年金改革案「五つの選択肢」を発表しました。本協議会は、年金改革の動向に不安を抱き、審議中の「年金審議会」委員へ要望書(同封資料)を提出し、厚生省年金局、社会保険庁、障害保健福祉部と交渉をいたしました。そこでは国民「皆年金」制度の主旨に立ち返った公的年金制度の改革と、その方向の中でこそ障害年金の改善と無年金問題の解決が図られることを強く訴えました。
 けれど、こうした話し合いや全国的な広がりを見せ始めた「学生無年金障害者」の審査請求を通して無年金問題の解決を求める運動などとは相反するような、その後の厚生省年金局の動きであり、今回発表される「年金審議会」の意見書です。国民が求めているのは「安心して未来を託せる年金制度の確立」です。平成11年の改正の課題は「国民年金の空洞化」をいかに避けるかです。老齢年金の「給付と負担」問題にすり替えるのではなく、800万人を超える「無年金者」「低額無年金者」を生みだし続ける年金制度の本質的問題にメスを入れるべきです。しかし、障害者の年金問題はほとんど取り上げられず、無年金障害者への「年金の給付は困難である」と切り捨てられてしまいました。 
 そこで、本協議会といたしましては次のことを貴政党の皆様にご理解いただき、年金改正法案作成の過程での精力的な働きかけと、国会での十分な審議を尽くしていただきたく、緊急に次のことを要望し、ご尽力いただきたくお願いを申しあげる次第です。


1.無年金障害者問題を、国会附帯決議、「障害者プラン」にそって解決してください。
(1)「学生無年金障害者」へ障害基礎年金を支給してください
・任意加入(平成3年まで)であった学生時代に未加入のまま障害を負った「学生無年金障害者」の障害基礎年金の請求と、「審査請求」を支援する運動が全国的な広がりを見せています。1月に8人が第1次集団請求を、そして10月8日に24名が第2次集団請求を各地で行い、昨日の「東京フォーラム」に駆けつけました。この運動の本質(任意加入制度の矛盾、制度の解釈上20歳前初診と同じに扱って無拠出障害基礎年金の支給可能)をとらえ、障害基礎年金の支給を速やかに行ってください。
・総務庁の勧告を受け、「年金審議会」の意見書でも学生の保険料納付猶予の方策が示されました。保険料拠出能力のない学生の扱いへの反省と改善策でもあり、今後は「学生無年金障害者」は生まれないことになります。平成3年以前の任意加入の時代に加入していた学生は学生全体の1%という実態であり、強制加入ではないため保険料免除制度もなく、「納付か滞納か」という現実の中で多くの「学生無年金障害者」が生まれました。平成3年以前に生じた「学生無年金障害者」に障害基礎年金を支給するのは当然のことです。
(2)理由のいかんによらず障害における無年金者の問題を解決してください
・学生以外に主婦(昭和61年から強制加入)や在外邦人(現在も任意加入)、在日外国人(昭和57年から強制加入)など、自己責任といえない理由からの無年金者や、納付月数の不足などから生じた無年金者も含めて、一定の障害をもつすべての障害者が受給できる障害基礎年金制度への改革をすすめてください。無年金者を生じさせない制度への整備・拡充を望みます。
2.基礎年金の国庫負担割合の3分の1を2分の1に増額して、障害基礎年金の整備・拡 充にあててください。
(1)国庫負担割合を増額すると同時に保険料の滞納による無年金者が今後生じないような基礎年金のシステムへ改善してください
・国民年金は強制加入の拠出制の年金を中心にしながら、拠出能力のない人(20歳未満の障害者や保険料の免除など)も年金を受給できるような社会的扶養=社会連帯の考え方をもとに、給付の財源に国庫負担を導入してきました。しかし、保険料徴収において強制加入のシステムが徹底しない中で保険料の滞納が生じ、このことが無年金障害者問題の背景となっています。無年金者の生まれない強制加入のシステムの創設と同時に、基礎年金への国庫負担金の増額をする中で無年金障害者の解決を図ってください。
(2)障害基礎年金を増額し、「生活できる所得保障」の水準へ引き上げてください。
・障害基礎年金額(1級)を生活保護の基本生計費(生活扶助1類プラス2類)に障害者加算を増額して加えた額に引き上げてください。
・「子の加算」をすべての子に支給してください。障害基礎年金受給開始時の子にしか加算がつかない現行制度は、生来的な障害者や若くして障害を負った人々の結婚や育児への配慮を欠いた内容です。年金受給後生まれた子に対しても加算をつけるべきです。
・障害者の生活の実状からいえることは、生計費の確保と同等に深刻なのが住宅費、医療費の膨張です。障害者の生活をトータルにとらえた「生活できる所得保障」の確立には障害基礎年金の増額に加えて住宅費、医療費の補助制度の創設が不可欠であり、早急に対応策を講じるべく要望します。
(3)障害者の老齢年金支給年齢を引き下げてください。
・障害によっては早期老齢化が進みます。加入期間の長さ(以前の若齢老齢年金は20年)だけで年齢を問わずに支給する「若齢老齢年金」の復活をして下さい。
3.保険料の莫大な積立金を計画的に運用して、年金財源にあててください。
・140兆円の積立金は年金独自の運用をして年金財源を確保し、保険料の引き上げや年金額の切り下げ、年金支給年齢の65歳への繰り延べなどをせずに国民の年金ばなれを防ぐべきです。
・積立金の運用状況は定期的に国民に公開し、関心を高めるようにしてください。
4.厚生年金の民営化には反対します。
・いわゆる2階部分の厚生年金の民営化論は公的年金の解体につながります。国民の公的年金への信頼を回復させ、制度確立への合意形成こそが急がれる課題です。
5.障害者の生活実態を適正に評価できる「障害認定基準」への抜本的改善をすべきです。
・現在の障害年金の等級を決める「障害認定基準」は障害者の生活実態に合っていません。行政、障害者団体、福祉関係者、研究者で構成される検討委員会を設置し、障害評価のあり方、障害認定基準、認定方法・機関等の問題を総合的に検討してください。
6.障害年金に関する情報公開をしてください。
・一般国民には障害年金(国民年金、厚生年金、共済年金)の受給者の動向は公開されていません。まずは年金制度別、障害種類別、等級別、都道府県別の受給者の動向が誰にでもわかる形で公開してください。
7.合わせて無年金障害者の実態を明らかにしてください。
・無年金障害者の数を正確に把握し、生活実態を明らかにする調査・研究体制を国として早急に整えてください。
8.義務教育のカリキュラムに公的年金等国の骨幹となる制度の説明を導入してください。
・公的年金を支える社会連帯の思想は大学生になってから育つものではありません。国民が国の制度・施策へ主体的に関わるには、義務教育課程からの配慮が必要です。
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文書名 「新しいサービス利用制度の在り方について」への意見
日 付 1998年11月11日
発 番
発信者
宛 先

■基本的な視点

 わが国の障害者福祉施策は、1949(昭和24)年の身体障害者福祉法を起点として、この半世紀着実に発展してきた。わけても、障害者基本法の制定および障害者プランの策定は、障害者福祉施策に新たな流れをつくるものであった。
 しかし、障害者の置かれている実態や個々のニーズに照らして見るならば、決して十分な状態とは言い難い。と言うより、なお事態は深刻であり、看過できない問題点が随所に見受けられる。
 たとえば、減少を見ない精神障害者の社会的入院、重度重複障害者に対する地域での支援策、急増続く小規模作業所問題、きわめて低い所得水準など、これらについては重要なテーマでありながら、いっこうに好転の兆しを伺うことができない。とくに、地域福祉の基礎をなす障害者施設(通所型を中心に)の絶対数不足は、きわめて深刻な状況にある。40数種類もの障害者施設が、1ヵ所も存在しない市町村が6割以上にもおよぶ。現行法には、こうした障害者施設の量的な確保に関して明確な規定はなく、もっぱら地方公共団体ならびに民間有志の積極性や熱心度に委ねられてきたというのが実態であった。現行方策の延長線上には、希望の持てる障害者施設施策は見い出しにくいように思う。思い切った政策の転換が求められるのではなかろうか。
 当協議会では、社会福祉基礎構造改革をめぐるヒアリングなどを通して、@働く場・活動する場(授産施設や重度障害者対応の社会資源)、A住まい・生活の場、B所得保障、C人的な支援(介助・介護、知的障害者や精神障害者については相談なども)、この4点が障害分野共通の基本施策であることを表明してきた。本ヒアリングにおいても、この点の拡充の必要性について、重ねて強調しておきたい。また、障害者基本法の改正(とくに、障害者計画の地方自治体での策定義務の明確化など)や障害者関連実体法の統合化(仮称・障害者福祉法)など、政策の根幹にかかわる関連法律の改正についても、早急な対応を期待したい。(日本障害者協議会策定「障害者に関する総合計画提言」参照)
 さて、今般「新しいサービス利用方式」についてお尋ねがあったが、これについてはいささか違和感を感じるものである。本来であれば、前述した基本的な課題を十分吟味し、全体的な方向性を明確にすることを先行させるべきである。その上に立って、はじめていわば各論としての「新しいサービス利用方式」が検討できるというものであり、基本課題が曖昧なままでのこの種の議論は、どう見ても本末転倒といった感じがしてならない。いきなり「新しいサービス利用方式」の在り方に入る真意がどこにあるのか、疑問を深くするものである。

■具体的な意見について

 以上の「基本的な視点」について十分考慮していただくことを前提に、お尋ねのあった件について当協議会の考え方を略述する。

1.契約利用制度方式について
 権利性に欠陥を有する措置制度方式から契約利用制度方式に切り替わることについて は、考え方としては了解できる。
2.新しいサービス利用制度への移行に際しての留意点
(1)乏しい選択肢にあって契約利用制度方式は機能しにくいのでは
 前述したとおり、障害者施設の市町村での設置状況は不十分であり、選択権を発揮できるような状況にはない。利用契約制度方式を本格的に機能させていくためには、障害者施設(事業)の量的な増大(適正配置を含めて)が前提条件であり、これについての仕組みが合わせて示されるべきである。
(2)国の責任の明確化を
 市町村の役割が決定的に重要になってくるが、財政面からも経験面などからも障害者施策についての市町村間落差は大きい。にわかに、こうした現実が解消されるとは思えない。限度を超えた格差を生じさせないために、国による財政支援が不可欠となろう。
(3)所得保障制度の本格的な確立を
 障害者の多くは、資産形成は不十分であり、基礎年金のみが収入源となっている者が少なくない。契約制度の効力を活かしていくためには、一定の支払い能力が求められようが、障害者個々の経済実態からすればこの点については非常に厳しい状況にある。本格的な所得保障制度の確立が並行されなけ ればならない。
(4)障害等級制度の見直し
3.「企業参入」その他
(1)企業参入・市場原理の導入について
 現状においては、賛成しかねる。コストとの関係などから、条件の困難な重度障害者などが敬遠され、選別化が懸念される。
(2)その他の重要事項
・施設体系・施設制度
・介護制度
・所得保障制度
・精神障害者の福祉施策(社会的入院問題の解消と合わせて)
・重度重複障害者の地域生活支援策
・障害者福祉法の制定(障害者関連実体法の一元化)
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文書名 精神保健及び精神障害者の福祉に関する法律の改正に係る意見書(第2次)
日 付 1998年11月18日
発 番 JD発第98−76号
発信者 日本障害者協議会 代表 調一興
宛 先 厚生省 障害保健福祉部 精神保健福祉課長 三觜文雄

 日頃より、障害者施策の充実に尽力を賜り、厚くお礼申しあげます。
 さて、貴殿より平成9年10月24日付障精第175号により標記の件につきましてご依頼があり、本会より平成10年1月30日付でお答えいたしました。さる9月、「精神保健福祉法に関する専門委員会報告書」(以下「報告書」)が公表されましたが、この報告書の作成にあたり、本会をはじめ多くの当事者団体、関係者団体の意見を聴くということがなされましたことに、心から敬意を表するものです。
 報告書の内容についても、精神科救急医療の法定化、医療保護入院や閉鎖処遇の対象制限、著しい問題がある病院への厚生大臣・都道府県知事の閉鎖命令の法定化、保護者をつけるべき精神障害者の限定、保護者の義務の軽減、ホームヘルプ、ショートステイ、ケアマネージメントの法定化・実施、手帳や社会復帰施設利用あっせんなどの業務を保健所から市町村に移管、精神保健福祉センターの機能強化などを提言しており、いずれも積極的な提言と考えます。貴殿及び専門委員会の委員の皆さまの努力にお礼申しあげます。
 しかしながら、このように多くの改善点を含みながらも、報告書を全体としてみると、精神保健福祉の現状を抜本的に変える迫力は残念ながら感じられません。社会的入院を含む32万人の入院患者数が横這い状態にあり、この数字を大幅に減らすための地域生活支援の確立という課題がいつ、どう達成されるのか、見通しを持つことができませんでした。わが国の保健福祉は、新ゴールドプランや障害者プランに象徴されるように「計画化」をキーワードとするようになりましたが、「報告書」はその認識が希薄であると思われます。
 このため本会はあらためて第2次の意見書を提出し、「障害者プラン」に社会的入院をなくする目標を設定すること、グループホームや社会復帰施設、地域生活支援センターなどの「障害者プラン」の数値目標を見直すこと、セルフヘルプグループの育成支援、生活相談員制度、クラブハウス事業などの新規施策を追加提言することなど、下記の通り要望いたします。
 是非とも、当事者、家族、関係者が希望をもって21世紀を迎えられるように、最終的な審議会答申に期待いたします。


1.総合的な障害者福祉法を確立する課題を明記すること。
2.障害者基本法での精神障害と精神保健福祉法での精神障害とは、同じ用語で異なる意味を表している。このため精神障害者施策の開発と実施の面でも、国民理解の促進の面でも混乱と困難を生み出している。精神障害、精神障害者の用語、定義、概念の整合性及び明確化を図ることが必要である。
3.「障害者プラン」の見直しで、精神病院入院患者数の削減計画をたて、対応すべきグループホームなどの目標数の見直しを行うこと。
4.国・地方自治体は精神障害者のための施策を立案・運営するにあたって、精神障害者団体および精神障害者の家族の団体の意見を反映するよう努めなければならないこととすること。社会福祉法人等が精神障害者のための事業を企画運営する場合においても同じとすること。
5.「精神障害者地域生活支援センター」を法律に明記し、その設置運営を市町村(人口数によっては複数市町村)の義務とすること。
6.「報告書」での訪問介護事業の提言は大きな前進である。これに関連して、精神障害者への「介護」には「見守り」、「話し相手」などの要素も含まれる点を強調すること。
7.給食サービス、日常生活用具(とくに電話)、回復者クラブ(セルフヘルプ)への助成、地域利用型施設であるの「クラブハウス」(仮称)を法定化すること。
8.グループホーム、授産施設、小規模作業所でのショートステイやレスパイトサービスを可能にすること。
9.民間協力者としての「精神障害者生活相談員」(仮称)の制度を設けること。
10.地域住民の誤解や偏見のため社会復帰施設などの設立が困難となる場合があるが、これに対する精神保健福祉法上の効果的な規定を設けること。
11.社会的入院患者の退院を促進するため、地域における生活施設を設置すること。特に、長期在院患者の退院を促進するための生活施設は、病院敷地外に設置すること。
12.「報告書」の保護者の対象と義務の限定は大きな前進であるが、平成12年度からの新たな「成年後見制度」にともない保護者制度を廃止すること。
13.第23条は、精神障害者又はその疑いのある者を知った者はだれでもその診察や保護を都道府県知事に申請できるという規定であり、精神障害者の自立と社会参加の理念に反する。これを削除するとともに、警察官の通報等の関連条項についても見直すこと。
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文書名 障害を事由とする欠格条項に関する要望
日 付 1998年11月26日
発 番 JD発第98−82号
発信者 日本障害者協議会 代表 調一興
宛 先 総理府障害者施策推進本部 本部長 小渕恵三

 日頃より、障害者施策の充実にご尽力を賜り、厚くお礼申しあげます。
 本協議会では、国際障害者年(1981年)以降、障害のある人々の「完全参加と平等」の実現をめざして、各種法制度の改正や施策の改善運動を推進しております。その成果もあって、近年、障害者基本法の制定(1993年)やそれに引き続く「障害者プラン」の策定(1995年)によって、わが国の障害者施策をめぐる展開は急速になってまいりました。
 特に、その動きのひとつとして、現在貴本部を中心に「障害者に関する欠格条項」の見直しが進められておりますが、本協議会では、かねてより障害のある人々の自立と社会参加を阻む大きな要因として、「欠格条項」の抜本的見直しを求めてきました。その立場から、この取り組みを高く評価し、今後の動向に注目しているところであります。
 「欠格条項」の基本的な問題点は、障害を有しているという属性のみを理由として、職業選択や社会参加に制限を受けることが、憲法上規定されている「法の下の平等」や「職業選択自由」を侵害している点にあります。わが国の「障害者プラン」が基本方針とするノーマライゼーションの理念からいえば、単に「欠格条項」を撤廃するだけでなく、より積極的に社会参加ができるように、社会全体として一層環境の整備をすることが求められていると考えます。
 よって、障害という属性を根拠とする、いかなる欠格条項も撤廃することを切に要望いたします。確かに、障害の状態によっては現在欠格とされている資格を取得することは困難な場合があります。その場合でも、障害名・疾患名を明記せず、当該資格等に要求されている能力や技能による欠格基準に変更していただきたく、お願い申しあげます。障害名・疾患名による欠格基準は、その障害・疾患を持つすべての者が、当該資格等に必要な技能を有しないと解される恐れが高く、障害者への偏見の拡大再生産をもたらす危険性があるからです。
 また、欠格条項が規定されている資格等につきましても、そもそも欠格条項を規定する必要がないものや、時代の変化に対応していないものがあると思われます。
 これらの点から、障害者に関する欠格条項の見直しにあたって、次の点を強く要望いたします。

1.障害名・疾患名により包括的に欠格とする絶対欠格の廃止、および相対欠格についても可能な限り廃止とし、やむを得ず欠格条項を規定する場合でも、障害名・疾患名を明記せず、当該資格等に要求されている能力や技能による欠格基準とすること。
2.資格試験にともなう欠格条項の場合は、試験による必要な技能・知識の確認ができるので廃止すること(運転免許や医師・薬剤師等の免許など)。
3.障害を補助する器具の進歩や周囲の理解・援助によって、能力障害の克服が可能な場合は、欠格とする必要がないので廃止すること(口がきけない方にとってのトーキングエイドなど)。
4.欠格条項を廃止しても、他の条項を適用することによって目的を達するものや、過去に適用した事例のないものは、廃止による社会的影響力がないので廃止すること(バスの利用制限など)。
5.障害者の社会参加という観点から、本来欠格条項を設けるべきでない法律の場合は廃止すること(公営住宅の利用制限など)。
6.「精神病者は、一般的に判断力、自制力に欠けるところがある」などといった、誤解と偏見に基づく理由による欠格条項は、国の障害者施策の基本理念とも反するものであり、廃止すること(警備員など)。
7.諸外国において障害者の資格取得が認められている場合は、わが国においても同様の対応をとること(スウェーデンにおける耳のきこえない人の運転免許取得やアメリカにおけるてんかん患者の運転免許取得)。
8.現状で柔軟な運用がなされている絶対的欠格条項は、少なくとも現状に法文を合わせること(精神障害者の運転免許や外国人の上陸など)。
9.他の同種の資格と比べて、過度な制限を課しているものは、最低限緩和すること(理学療法士・作業療法士と他の医療関連資格)。
 さらに、今後の見直し作業を行われるにあたって、ぜひ留意していただきたい点が2点あります。
 第一は、「欠格条項」の見直しによって、実質的に障害者の社会参加を推進するものとしていただきたい点です。
 たとえば、運転免許の欠格条項が廃止されても、資格試験の問題文がわかりにくい内容であれば、運転をする上での技能と知識があっても、知的障害のある人の免許取得は困難になります。また、耳の聞こえない人は現状では薬剤師になれませんが、仮に欠格条項が廃止されても、資格試験において耳の聞こえない人への手話通訳の保障がなければ、実質的に現状と変わりがないことになります。また、資格試験以前の養成教育過程への入学拒否などの問題も解決されねばなりません。こうした事態を招かないためには、単に「欠格条項」を撤廃・緩和するだけでなく、現在排除されている資格等で、どういう条件があれば取得可能なのかという方策を、あわせてご検討いただきたく存じます。
 第二に、なんらかの基準により欠格条項が残されたとしても、欠格とされるにあったての聴聞や、欠格とされた者の異議申立てや権利回復規定を明記していただきたい点です。
 たとえば、現行の法文に聴聞の規定があるもの(道路交通法第104条)でも、精神病者、精神薄弱者、てんかん病者は、精神保健指定医以外の診断を受けた場合でなければ、聴聞は行われません。ましてやほとんどの欠格条項を規定した法文には、聴聞、異議申立て、権利回復規定が明文化されていません。近年、重視されてきている障害者の権利擁護の観点に立ち、ぜひともご検討いただきたくお願い申しあげます。
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文書名 厚生省社会・援護局長との懇談会意見メモ
日 付 1998年12月4日
発信者 日本障害者協議会 代表 調一興

1.措置制度の廃止が先行しすぎている。自由なサービスの選択について、何ら具体策がみえない。最終報告で明示できるか。でなければ賛成できないと思う。

2.措置制度が悪である(サービスの選択ができない、利用しにくい等)と決めつけて、公的責任を後退させることになるという認識が消えない。角を矯めて牛を殺すことにならないか。

3.これまではまず国費(措置費)があって、応能負担があったが、これをまず自己負担(費用徴収)があって公費助成という流れになる。
費用負担の内容・水準はどうなるかを明らかにすべきである。

4.社会福祉法人に対する規制緩和や認可基準の緩和は、思いきってやるべきである。無認可作業所をどうするかを、もう少し具体的にすべきであると思う。

5.施設制度の見直しを早急に行うこと。その際、授産施設どは施設経営というより事業経営が主目的であることに配慮した制度とすること。

6.地域権利擁護制度、地域福祉計画(但し、個別計画を基礎とすること)には賛成である。

7.以上、一応意見は述べるが、全体としては、これまでの議論が、個別の障害者の問題に集約してみると、福祉の前進になるかどうか疑問である。
(地域で暮らす障害者は大部分が親や家族がかりであり、現行レベルのもとでは親や家族の意見が決め手になり続けよう。)

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文書名 新しいサービス利用制度の在り方について
日 付 1998年12月24日
発 番
発信者 日本障害者協議会 代表 調一興
宛 先 厚生省 障害保健福祉部
T.基本的な考え方
1.措置制度の廃止が先行しすぎている。自由なサービスの選択について、何ら具体策がみえない。最終報告で明示できるか。でなければ賛成できないと思う。
2.措置制度が悪である(サービスの選択ができない、利用しにくい等)と決めつけて、公的責任を後退させることになるという認識が拭えない。角を矯めて牛を殺すことにならないか。
3.これまではまず国費(措置費)があって、応能負担があったが、これをまず自己負担(費用徴収)があって公費助成という流れになる。
費用負担の内容・水準はどうなるかを明らかにすべきである。
4.社会福祉法人に対する規制緩和や認可基準の緩和は、思いきってやるべきである。とくに、5000カ所を超えた小規模作業所をどうするかを、もう少し具体的にすべきであると思う。
5.施設制度・施設体系の見直しを早急に行うこと。その際、授産施設などは施設経営というより事業経営が主目的であることに配慮した制度とすること。また、重度重複障害者に対応した本格的な通所型施設制度の創設が求められる。
6.地域権利擁護制度、地域福祉計画(但し、個別計画を基礎とすること)には賛成である。
7.以上、一応意見は述べるが、全体としては、これまでの議論が、個別の障害者の問題に集約してみると、福祉の前進になるかどうか疑問である。
(地域で暮らす障害者は大部分が親や家族がかりであり、現行レベルのもとでは親や家族の意見が決め手になり続けよう。)
U.具体的な意見
1.選べるだけのサービス量の確保を
 十分なサービス資源の確保は、「選択」はもちろん、「利用者と事業者の対等な関係」や「サービスの質」にとっても前提である。在宅サービスの不足の ために入所施設しか選択肢がなく、それも不足しているために「ようやく入所できた施設の方に足を向けて寝られない」という親は少なくない。中には体罰が行われている施設に、「いうことを聞かなかったらうちの子を遠慮なくたたいてください」と迎合して心で泣いている親もいる。12月14日の「これまでの審議の整理」ではこうした現状への理解がほとんど感じられず、「障害者プランに基づき、着実に供給体制を整備する」としているのみである。したがって次の対応が必要とされる。
ア.障害者のニーズに対応できる福祉サービス資源を整備する国と地方自治体の法的責任を明記する。
イ.都道府県障害者計画及び市町村障害者計画を法的義務とし、あわせて障害保健福祉圏域での最低基準を定めること。
ウ.合同企画分科会において、障害者プランの進捗状況を評価し、ノーマライゼーションの実現に向けて2002年までに必要とされる数値目標を再設定すること
エ.専門的ニーズ査定に基づくサービスを受ける権利を法改正で明記すること。
2.サービスを受ける権利の規定をサービスの利用制度化にともない、相談支援、情報提供、苦情処理、成年後見、権利擁護などが検討されており、いずれも重要な対応であると考えられるが、これらが有効に機能するためには障害者に「専門的ニーズ査定に基づくサービスを受ける権利」がなければならない。権利でなければ苦情を申し出ても無駄である。本人にその権利がなければ後見人や補佐人が本人に代わって行使することはできない。
 事業者は利用申し込みを「正当な理由がない限り拒んではならない」とすることが検討されている。しかし、障害が重すぎる等の理由で現行の行政機関の措置すら拒むことのある事業者が、利用者との契約という制度のもとで、契約の「自由」をどのように行使するか懸念される。サービスを受ける権利を明記し、たとえ1、2の事業者が利用を 断っても、行政の責任で最終的にはサービス利用が確保されるようにしなければならない。
3.新たなサービス利用制度について
 まずは、以上の事柄が明確にされなければならない。新たなサービス制度移行のいわば前提条件のようなものであり、障害保健福祉部として変則的な対応が求められよう。
その上で、今般示された今後のサービス制度について(4つのパターン)、以下の意見を表明したい。
ア.現状においては、市町村の適正な関与が不可欠である。
イ.公的な負担(経費面)が担保される必要がある。
ウ.授産施設など福祉的就労施設については、利用料(徴収金)は廃止すべきである。
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