IYDP情報臨時増刊 障害者に関する報道改善をめざしてー国連セミナーによる勧告― 国際障害者年日本推進協議会 表紙写真略 1カナダにおける募金活動で用いられた写真 2国際障害者年用国連新聞資料で用いられた写真 3カナダのテレビ映画俳優で精神的障害を持つディビッド・マクファーレン 4俳優として成功した米国のアラン・ロイ 本冊子の英語版オリジナル送付またはこの外の情報を得たい場合は、下記に直接ご連絡下さい。 United Nations Division for Economic and Social Information Department of Public Information New York, N.Y. 10017, USA または Rehabilitation International 25 East 21st Street New York, New York 10010 USA 障害者に関する報道改善をめざして ウイーンで、1982年6月8日から6月10日ま で開催された国連主催セミナーによる勧告 はじめに 国際障害者年の目標達成に果した情報メディアの役割について、1982年6月8日から10日ま で、オーストリアのウイーンで開催されたセミナーで検討が加えられた。この会議は、ニュー ヨークの国連本部広報部によって組織されたものである。 この会議の参加者は、マスメディアおよびリハビリテーションの分野における障害を持つ専門家と障害のない専門家であった。 このグループは、報道によって一般の人々の障害や、そこから派生する生活上の諸問題に対する理解が高められることをめざして、関係者に対するガイドラインを作成した。このガイドライン草案には、世界中の多くの専門家によって加筆修正が加えられた。 障害者の団体および障害者のための団体は、益々社会教育プログラムに関与するようになっているため、こうした努力を支えるための別のガイドラインも作成された。会議による勧告によって、これら二組のガイドラインを、写真いりでここに紹介する。 会議は、各国の社会的、経済的、文化的要因によっては、ガイドラインの中には適当なものもあるし、そうでないものもあると考えている。 この冊子が、広く頒布され、ガイドラインが実施され、勧告された活動が開始され、障害者のイメージが、マスメディアの中で、目にみえて向上することが期待される。 謝辞 ガイドラインと本冊子の作成にあたって、次の方々からご協力をいただいたことについて、ここに特に感謝の意を表明するものである。 国際リハビリテーション協会事務局長ノーマン・アクトン氏には、本冊子の作成にあたり、終始援助を賜った。 マスメディアと障害の専門家であるバーバラ・コラッキー女史には、会議の開催と、ガイドラインと本冊子の編集に、援助を賜った。 米国マサチューセッッ州ボストン市の大ボストン共同社会財団の副理事長アラン・ブライトン氏には、終始この会議の実施に参加を賜わった。 国際リハビリテーション協会の情報部長バーバラ・ダンカン女史には、本冊子のデザインと編集の面で、援助を賜った。 セミナー参加者とガイドラインの改善について意見を賜った方々に、謝意を申上げる。 本冊子は、国民会議83・国際障害者年長期行動計画推進全国代表者会議記念シンポジウムにおける資料として、国連が出版した英文冊子 "Improving Communications about People with Disabilities" を翻訳したものです。 内容的に翻訳しにくいもの(特に新聞の見出しなど)また、日本の国情に合わないもの等、 様々な問題点のあることは、お読みいただければおわかりいただけると思います。 本冊子の出版を期に今後、日本のマスメディア関係の方々に、より理解していただきやすい ものが出版されることを願ってやみません。 なお本冊子出版にあたっては、国連広報センターのご快諾とご協力、ならびに(財)日本船舶 振興会のご助成をいただきました。ここにしるして両団体に深く感謝いたします。 1983年12月11日 国際障害者年日本推進協議会 写真スーツを着た方の義手がアップで写っている。義手は名刺を持っており、名刺には「IBM」の文字が読める。キャプション:これは、1981年にマスメディアに現われた広告の好事例である。 序 新聞、書籍、雑誌、テレビジョン、映画、演劇および電波によって、マスメディアは、 個人がその周辺の変化する世界をいかにして理解するようになるかについて独特の大きな影響力を発揮する。いづれかのマスメディアの形式を、より広い世界の窓として見るにしても、自己の周辺の鏡としてとらえるにしても、人間、場所およ び思想を調査し、これらについて伝達するマスメディアの力に匹敵するものはない。 社会が社会自身についての考え方を形成するため拡大し続けるマスメディアの役割に留意し、さらにいかなる社会も、その中の10%程度は障害を持つ個人によって構成されることに留意して、国連は1982年の夏に、マスメ ディアの中に、障害者を含むためのガイドラインを策定するため、世界中の専門家からなる作業委員会を招集し た。この作業委員会は、ウィーンでガイドライン案を作成し、これを検討してもらうため、77ヶ国の個人と政府 機関にこの案を配布した。 ガイドラインが充分かつ有効的に使用されるためには、いくつかの重要な考慮すべき事項が、正しく評価されなければならない。 1.各国の種々の異なる状況下で、あらゆる形のマスメディアで働く個人に適用できるガイドラインを設定する目的のため、あらゆる努力が払われた。以下にのべる事がらは、同じ方法で誰もが厳守すべき規則ではなく、創造性とマスメディア産業固有の個性の発展を促進する一方、種々のマスメディア界の個々の障害者の、的確 な紹介の一助となることを意図した提案である。 2.ガイドラインは、視力、聴力または言語能力が弱いか、全くない個人、知恵遅れの個人、移動困難な個人、情緒不安定の個人、慢性の病気その他の要因による障害者を含むあらゆる障害グループに関して作成された。 さらにガイドラインは、情報・教育・娯楽を意図したマスメディアにも向くよう に作成された。 3.最後に、マスメディアで働く者は、ガイドラインの本来の目的を忘れないことが大切である。本来の目的とは 障害をもつ人々が多様な形で、積極的かつ多くの分野にわたって社会に参加している状況をできるだけ表現すること。 本冊子は世界的検討に基づいて、小委員会が修正したガイドラインである。 マスメディアにおける好事例 写真 車椅子に乗った女性が小さな男の子のズボンのサロペットをのばして引っ張っている様子。 BREAK DOWN THE BARRIERS 障壁を除去しよう。国際障害者年の活動を促進するため、オーストラリアで使用された一連のポスターの一つ。 テレビ情報 障害者の真の姿を求めて 編集者殿 10月19日のジョーン・J・オコーナー氏の”テレビ業界では、病気が流行している”という論評は、アメリカの営利テレビ放送の特徴である任意の主題または形式を番組に組むところのいわゆる浸透法を、如実に指摘している。彼は、障害者の悲劇や困難克服を中心としたドラマ、ドキュメンタリーおよび連続コメディを夢中になって放映している最近のテレビのあり方について、詳しく述べている。オコーナー氏は、テレビの主題としての障害者へのこのような関心は、いづれは頂点に達して、障害者は見離され、テレビの番組は、他の主題に移行するであろう、と結論している。 多くの障害者や、彼等の利益のため奉仕するか、彼等の利益を代表する者にとってより大きな関心は、テレビが依然として、的外れの番組を流していることである。 ある種の障害の苛酷さや、その困難に打ち勝った個人の紹介は、たしかに感動的であり勇を鼓舞するものではあるが、障害や障害者について既に持つ一般の人たちの限られた障害意識を再現するものであって、障害意識を拡大するものではない。 すべての障害者が、何かとてつもないことを成就できるわけでもなく、また障害によって全く破滅するものでもない。障害者もまた平均的個人であり、一般社会の社会的、経済的、知的面を構成する一員である。財団法人米国盲人協会の理事であり、私自身弱視者として、みずからの盲目の経験から話をしているが、他の障害を持つ人達も、類似の考え方をするものと確信する。 教師、法律家、エンジニア、秘書、技術者、工員等が、盲人達が雇用される職業である。 この人達の中には、子供を持つ人、孫を持つ人、子供、若者、中年の人達がいる。この人達の誰もが、人間の中に見られる特性や短所を持っている。要するに、テレビ番組の中で描かれる大抵の登場人物が、偶然に盲目の個人であることは、ありうることである。盲人に関する物語を番組として放映するのではなく、テレビは、その番組の物語の中で盲目の人達を含めるべきである。 ウィリアム・F・ギャラガー ニューヨーク市 障害者に関するテレビ番組作成について、主要日刊新聞の編集者に宛てた手紙 写真 眼鏡をかけたポニーテールの車椅子の女の子が片手を大きく上げて空を指さしているイラスト。上部にはElizabeth Fanshawe RACHEL illustrated by Michael Charlton という文字。障害を持ってはいるが、普通の学校に通学するか、または障害のない一般の生徒達と仲の良い交友関係を持つ少女に関する人気のあるイギリスの子供用の本 写真 ショートカットでワンピース、スニーカー姿の女の子が両手両足に力を入れて立ち上がろうとしている写真。アカデミー賞(オスカー)候補となったユニセフの映画のひとこま。これは個人の横顔を通して、世界の発展途上国と先進国における障害者の話を紹介するものである。 ラッド・ベイツ著”ゲーム”58秒デッキー・デイビスの声 こんにちは、私はデッキー・デイヴィーです。ゲームをやりませんか。次に私がいう名前に一つだけ他のものと違うものがあります。レイ・チャールズ、ホセ・フェリシアノ、ジョージ・べンソン、スティービー・ワンダー。さあどれが違うでしょうね。そうです。それは、ジョージ・ベンソンです。彼だけが物を見ることができます。他の人は偉大なスターで、物を見 ることができません。 1981年は、国際障害者年です。英国には、12万人の盲人がいます。私達は彼等のため に、援助を与えることができます。どうか、 その人が持つ障害ではなく、その人自身を見て下さい。 英国における国際障害者年に関する、一連の公共ラジオ 報道の一つ。 写真 車椅子に乗った男の子が自分の体より大きな楽器を運んでいる様子。国際障害者年の国連の報道用写真の中の写真。 勧告1、障害者を、家庭や、職場、学校、あるいは余暇を楽しむ場といったあらゆる場面の中で描こう。 写真 セーターを着た長い髪の女の子が機織機の前に座り義手で操作している写真。コロンビアのボゴタで、義手を使用して編み物を学ぶ少女。 写真 遊具の向こうから女の子がこちらを見つめている写真。障害を持つ少女について、知ってもらうための本。これは、 米国のテレビ番組を補足する一連の出版物の一部である。 写真 名が机いっぱいに載せられた仕事をこなす重複障害のある人たちの写真。ハンガリーのブタペストで報酬を伴った仕事をする重複障害者達 勧告2、障害者に対して障害をもたない人々がいだく自然な好奇心やときおりあらわすぎこちなさについて、認 めてあげよう。適当と思われる場合には、このような好奇心が満たされ、ぎこちなさが少なくなるような例を挙げてみよう。 写真 四コマ漫画:車いすの男性とソファに座った女性が会話している。A ハローさん、私のため落ちつかないのではありませんか。 B 冗談じゃありません。どう してそんな風に思うんですか。A 障害者と一緒にいると、何か不安な感じになりやすいらしいですよ。しかし、そんなこと大した問題ではありませんよ。Aブー 何人かの違った登場人物の中に、身体障害者をー人登場させることで知られる米国の続き漫画家バーク・ブレストの作品。上記の漫画でもわかるるように、彼はよく障害者に対する非障害者のぎこちなさを、ユーモラスな手法で描写する。 写真 レストランでテーブルを囲んだ3人の人。視覚障害のある人ではなく、第三者にこのひれ肉はすばらしいと伝えてと話しかけているイラスト。Speak directly to a blind person, not through a third party, Interpretation is not necessary since blindness is not a separate language. 盲人に対しては、第三者を通じないで、直接話しかけよう。盲目は言語ではないのだから、通訳の必要はない。このヒレ肉は、すばらしいと言って 下さい。“盲人を見たらどう しますか” という表題の、広範な読者を持つ公共教育用の冊子に掲載されたさし絵 写真 難聴の人との対話の正しいやり方を、実例で示すオランダの国際障害者年のポスター “私がもし人々に頼みたいことがあれば、それは、私を特別扱いしないで欲しいことです。私をこわがらないで欲しいということである。”  元カリフォルニア州リヘビリテーシ ョン局長 エド・ロバーツ 勧告3、障害者を主題とする作品だけでなく、マスメディア の作品の中に出てくる人々の一員として、障害者を 仲間に入れましょう。 写真 セサミストリートのキャラクターと子供たちが描かれたイラスト。子どもの中の一人は車いすに乗り楽器を演奏している。学齢前の子供を対象にした米国の教育テレビ番組は、1974年以来、障害を持つ子供や大人を、正規の登場人物として取り扱っている。この番組のプロデューサーは、 最近身体障害の操り人形を創りだした。セサミ・ストリートは、世界の30ヶ国で,英語で視聴することができ、英語以外の9か国でも放映されている。 写真 THE REHAB COLUMN 母親に抱かれた幼児の写真、マイクを持つ男性の写真など。フィリピンの主要新聞に、定期的に掲載された特約寄稿欄の編集物。フィリピン全国障害者委員会ては、ラジオやテレビ放送局に送られ、障害防止と社会復帰に関して適切な情報を提供する四半期毎のニュースレターである *放送局ニュー スウォッチ” の配布も行っている。 写真 車いすの従業員と立って作業をする従業員の写真。エチオピアのアジスアベバの傘製造工場で他の労働者たちと一緒に働く身体障害者。 勧告4、障害者を、他者に依存している人であるとか、かわいそうであると表現するのはさけなければならない。 障害者を、本来神聖であるとか、性とは無関係であ るとか、無用で危険であるとか、障害のため特別な能力がある等とみなすといった固定観念は避けよう。 写真 男性と女性の顔がアップの写真。恐怖映画に好んで使われるもので、女性 に襲いかかる悪漢を描写する映画の一つのシーン。 写真 片手が義手の男が綱で縛られた女の子に恐ろしい表情を向けているイラスト。よく知られた物語の登場人物であるキャプテン・クックが、子供達が持つ障害者に対する恐怖感を増大する。 写真 笑顔の女性たちの写真。募金活動のこの写真は、障害者に対する社会のあわれみを、利用している。多くの慈善運動は、提供する奉仕を権利の問題としてではなく、特権であるとみなしている。 写真 簡単なイラストを見せられた男性が、笑顔ですばらしい、レンブラントのようだと絶賛している絵。この絵は、障害を持つ人を、あたかも子供でもあるかのように、絶賛する傾向を例示している。 写真 多くの募金活動は、充分な資金があれば、 障害者は障害を忘れて、一人歩きするという神話を持続させている。しかし障害者が最も必要とするものは、奇跡ではなく、障害についての固定観念、偏見および差別に終止符を打ってもらいたいだけである。 写真 子供が大きなバースデーケーキの火を噴き消そうとしている。公共啓蒙運動の中で用いられたこの写真の中のメッセージは、知恵遅れの人は、成熟する可能性はなく、永久に子供のま まであるといっている。 勧告5、障害をもつ人について述べたり、その特徴を描写する場合に、使用されることばについては慎重に配慮し、障害をもつ人の品位を傷つけるようなことばは使用しないようにしよう(例えば、盲同然。つんぼ。 おし等)。 好ましくない最近の新聞のみだし ○今や廃人ではない。 ○障害者は、現在では障害者のような行動はしなくなった。 ○双方の足を失った人は、勇気の教訓である。 ○機器が、CP犠牲者の視野を広めるのに役立つ。 ○遅退児の地方への移転によって、ワシントン市は劇的利益を得た。 ○ピンボール・マシーンは、脳障害者のためになる。 数カ国の日刊新聞から抜粋した上記の標題は、障害者について述べる場合によく用いられる用語の例である。この種の用語は、下記に述べるように、障害を持つ人達の品位を下げるものである。 "犠牲者”や“廃人”等の語は、人間として価値のない、人間以下のあわれむべき人を,想起させる。 誰かを名詞 (障害を持つ人、知恵遅れの人等) ではなく、形容詞 (不具の、おくれた等)で述べることは、その人の個性を否定することになる。 ”患者”や“両足不具” という語を使用すると、その人が医学的治療を受けていることになる。 下記の例は、上記の用語より適切なものである。 ○ ”〜になやむ” と言うよりは、その人が "〜を持っている” と言う方がよい。 ○ ”不具”、“不具の”および “不具者”と言うよりは、障害を持つ人、または障害を持つ個人 と言う方がよい。 ○ ”~に苦しまされている”と言うよりは、“〜が原因で苦しむ人”と言う方がよい。 ○ ”病弱的”と言うよりは、"〜の結果”、または"〜によって障害を持つ人”と言う方がよい。 ○ ”〜に行動を制約されている”、または "〜に閉じこめられている”と言うよりは、°車椅子を使用する”、または "松葉枝で歩く”と言う方がよい。 ○ "〜の犠牲者”と言うよりは、”〜を持つ人”、“〜を経験した人”、または”〜の人”と言う方がよい。 ○ ”車椅子に拘束される”と言うよりは、“車椅子を使用する”と言う方がよい。 ○ ”知恵遅れ”と言うよりは、“知恵の遅れた人” または “精神的に遅れた人”と言う方がよい。 勧告6、障害者についても、一般の人と同様に多面的に述べてみよう。 積極的事例 写真 男性と男の子が向かいあっている。精神的遅退児もひととおりの教育を終えることができる。 写真 女性が足で自分の顔に化粧をしている写真。化粧は障害のない人たちに限られるものではない。 写真 椅子に座った人や地面に座った人が色々な楽器を演奏している写真。障害をもつ人たちも、障害のもたない人達同様に音楽を楽しむ。この写真はタイの障害者によって構成される音楽バンドである。 勧告7、障害を持つ人達の成しとげた業績や、彼等が直面する困難を、その障害を過大視したり、その状況を誇張したり、感情的に取り扱うことは避けよう。たとえば、ニュースやドキュメンタリー報告では、直接関係のある場合のみ、障害者に関する事実を報告しよう。 好事例 写真 子供たちが教室で授業を受けている。この写真は、適切な援助の下で、知恵遅れの子供が、仲間と共に授業に 参加している様子を表わしている。 好ましくない事例 写真 男の子が遠くを見つめている。このオーストラリアのポスターは、障害児にありがちな孤独をことさら強調している。これは、あわれみの情を誘発することを意図している。 ケリー家の隣に住む、職にあぶれた雑役夫 は、精神的発達が遅れたアルコール中毒患者で精神的に無能力な精神病患者であったと言われる このニュースは情報的価値のない過度で、時として無意味な言葉を使用している。 精神障害者が鎮静剤 注射後、スタッテン島で死亡。国立病院における第四番目の事例。ジョーゼフB.トリー スターによる報告。 スタッテン島のサウス・ビーチ精神病院で、27才の精神障害者が鎮静剤を注射され、高速ジャケットに入れられたあとまもなく、水曜日に死亡したと、市及び州当局発表した。この記事は、障害について述べているが、これは妥当なことである。理由は、このニュースを 理解するには、障害は必要な情報であるからで ある。 勧告8、障害の原因となる病気の予防と治療についての情報および障害者とその家族に対する各種奉仕活動のあることについての情報を提供しよう。このことは、公共のキャンペーンを通じて実施することができ、一般のマスメディアの番組や記事の中に組み入れることによって達成できる。 写真 女の子が床に倒れている。二人の大人が何かを相談している写真。この事故防止のシーンは主な健康問題についての社会意識を高めるため作成された某テレビ・シリーズのひとこまである。 写真 男性3人が大きな荷物を運んでいる。一人は背中で荷物を支えている。この写真は人間がその日常の労働の中でどのようにして障害者になる可能性があるかを例示している。 英国の新聞と障害者 パット・サンダー氏は、新聞に、彼の第120回目の週刊記事を書き終えたばかりの英国の作家である。彼は、身体障害者である。8ヶ月にわたって断わられつづけたが某英国新聞に特集記事を書いてみないかと依頼され、障害者の問題について Pat's Piece の題名で、記事を書いている。彼は, ”わが国のどの地方新聞も、障害者に関する特集 を毎週載せている。このことで障害者と障害をもたない人のギャップを縮めるのは、私達障害者自身の問題です。作家自身が障害者の場合は読者に共感をもたらすことが自然にできます。記事は、情報を読者に与えなくてはなりません。娯楽記事やユーモアは、あまり新聞を読まない人達に新聞を読ませるのに役立ちます” という。マスメディアのガイドライン草案について、彼は、障害をもたない人に対して、専門家の通訳としてのジャーナリストの果す役割の困難性を強調した。 マスメディアで働く人達が、障害をもつ人達を取りあげる際、彼等の記事その他の作品が正確で思いやりがあり、かつ公平であることを期すため、援助を必要とすると考えられている。下記の補足的ガイドラインは、尚一層の援助を与えることを、意図したものである。 1.マスメディアの発展と生産のあらゆる面とあらゆる段階で、障害を持つ人達を参加させること。 このような障害者の参加を可能にするため、経営、製造および技術スタッフから、顧問や研修プログラムへの参加にいたるまでの、参加の機会を創ること。 2.障害をもつ人達や、(個人的に、また職業として)障害問題にたづさわる人達と効果的接触をは かること。この人達の中には、マスメディアと 障害の双方に精進している個人、障害をもつ人々の団体、障害をもつ人々のための団体、障害者を家庭の一員とする家庭、父母グループ、市民グループおよび教育者が含まれる。 3.障害をもつ人々が、マスメディアに接触することを容易にし、マスメディアの作品について、評価批判させること。 オーストラリアとロシアにおける演劇と障害 左の二つの写真は、社会の中で既に、一般大衆むけの芸術作品に取り組んでいるタレントを表わしている。写真33は、聴覚障害者や難聴者の演技者で構成されるロシアの国立演技団のダンサーである。(長い髪の女性が踊っている写真)左下の写真は、精神障害者の演技者からなるオーストラリアの劇団の一員のものである。彼等が シドニー・オペラ・ハウスでデビューしたときの映画“ステッピング・アウト” は、世界的賞讃を浴びた。(衣装に身を包んだ役者が大きな身振りでポーズをしている写真) 聴力障害者や難聴者用のテレビ文字解説 テレビ・ニュースや娯楽番組に、文字解説をつけることが、数ヶ国で始まっている。初めて、重度難聴者が、テレビというマスメディアが提供する情報に、接触することができるようになったわけである。テレビ文字解説実施の費用が高価なところでは、手話解説が用いられることが多い。 オーストラリアの障害者向けラジオ放送局 オーストラリアのホバートにあるラジオ放送局 (7 R PH)は、1981年にその第二回目の一般公開ラジオ放送を実施した。これは、障害を持つ人達のための放送局であり、この放送は、すべての訪問者、特に技術的番組作成から管理に至るまでの、ボランティアとして働く関心のある人達を招待した。同放送局は、身体障害者が放送局を見やすくするための援助も依頼した。ホバートの一般公開放送は、障害者がスタジオの運営のすべての面で積極的に参加するばかりではなく、メディアの場所を近づけるという努力を例示するものである。障害のない普通の人達は、これによって、障害を持つ人達と共に働く意欲を起こすことになるのである。 香港におけるテレビ・インタヴュー 障害を持つこの人は、香港のテレビ番組のためインタヴューを受けている。この写真は、障害を持つ人達は、できるかぎり、テレビ・カメラを通じて、自分達自身のために話をすべきであることを 表わしている。 マスメディアと障害に関する論評 “国際的にも国内的にも、マスメディア については、いくつかの問題がある。 国際的レベルでは、マスメディアは、政治問題に専念して、これにより大きい関心を示している。国連自身の内部におけるマスメディアさえも、例外ではない。この件に関して、国際的マスメディアが、積極的役割を果さないで、障害者の権利について、どうして国際共同社会の障害者意識を、高めることができるであろうか。 マスメディアは、国際障害者年の諸行事に参加し、国際障害者年の成功を計るべきである。 1980年国除障害者年 国連諮問委員会会長 マンサー・キキア大使 “国際障害者年の主たる基本的目的の一つは、一般社会に、障害者が持つ権利を教え、各国政府や国際社会に対して、障害者を社会の一員として統合する必要性を説き、未だに現存する障害者に対する偏見を和らげるために、障害者の持つ能力に関する意識を育成し、障害者に対する積極的態度を促進することであった。 国際障害者年終了後は、マスメディアは、未だに存在するあらゆる種類の偏見と戦うことを援助することができるばかりでなく、一般社会が、障害者の障害ではなく、障害者が持つ才能または明かな能力を見るように仕向ける役割も、果たすことができるのである。” 社会開発人道問題センター 国連事務局長補,兼1981年国際障害者年事務局長特別代理 レテイシア・R・シャハニ夫人 "現在、社会一般の人が障害者に対する態度を変える望みがあれば、通常非常に説得力のある相互理解の情報が必要である。この情報が成功した場合には、現在の一般の人の態度を変えるか、または望ましい態度を発展させるかによって、一般個人の態度に、影響を与える筈である。 カナダ障害者リハビリテーション協議会 マイク・マクファーランド ”障害による苦痛のテーマ (一時的または永久的障害者の悲劇と克服の話) は、積極的態度を促進することもないし、微妙で、自然な日常的統合を促進することもない” 国連メディア・セミナー "障害を持つ人を、異常なものとして見ないばかりではなく、障害者と一諸に働く人達を異常であると見てはならない。” 国連メディア・セミナー ”強くて運動ができ、体力の優れた障害者だけではなく、弱くて平凡な障害者も目立つように、注意を払わなくてはならない。” オーストラリア障害者リハビリテーション協議会 へーザー・クーンベス ”マスメディアの製作のあらゆる分野で障害者が働くことは最も重要である。マスメディアのための情報サービスは、良い考えであるが、そのための資金を得ることや、必要な専門的レベルまで発展させることは、困難である。...優れたマスメディアによる作品の表彰は、すばらしい考えである...作品が良くない場合に、責任者に対して、何らかの機関が その旨を伝えることも重要である。 米国CBSの“60分”の製作者トム・ベッタグ ”障害を持つ子供達に、有能な大人の障害者の役割の手本を見せること” 国連メディア・セミナー 障害者の団体と障害者のための団体への勧告 知識、情報および見識を持つ障害者団体は、マスメディアが建設的な方法で障害者や障害に関係する問題を表現させる責任がある。各団体は、募金活動、出版物その他の発表を含む、そのメディア活動のすべてが、障害者の尊厳に注意を払う点において、他の模範となるようにしなければならない。この件に関して、効果的な対策の中には、下記のものが含まれる。 1このセミナーによって作成されたガイドラインを主たるマスメディアにすすめ、広くこれを利用できるようにすること。あらゆる場合に、団体は、マスメディア製作担当者との直接的な接触を通じてガイドラインを伝えなければならない。 2障害者に関するマスメディアの表現を、系統的かつ批判的に調査するシステムをつくりその調査結果を肯定的、否定的に関わらず定期的にマスメディアに報告すること。 3障害に関する主題の、いろいろ異なった形のメディアを通じた傑出した紹介の事例を集めて、すべてのメディアが注目するようにすること。 4障害者、その支持者およびマスメディアの代表から構成されるセミナーを組織し、障害者に関して社会意識、理解および支持を高めるための計画をつくり、これを実施すること。このような計画は、定期的に検討され、改正されなければならない。 5メディアが、障害者に関するあるいは障害者のための作品を製作する際に、人的、実務的協力をしたり情報提供を行うために情報サービスを確立すること。 6障害者が、あらゆるレベルで、あらゆる種類のメディアへの参加を呼びかけ、彼等を訓練するネットワークを開発すること。この訓練計画の中には、障害者が、メディアに関する全分野でその技能をみがくことができるセミナー、研究会および形式ばらないクラブを含めること。このようないろいろ異なった集まりの中には、できるかぎり障害をもたない人も参加しなければならない。 7メディアと関係する分野で、訓練や調査研究を行う組織や団体は、その業務の一環として、障害関係のプロジェクトを組み込むようにする。 8障害者の予防、障害者の教育、リハビリテーションおよび訓練についての情報を提供できるよう巡回メディア車を活用すること。 9障害者、その家族およびコミュニティが、グループ・ディスカッション、地域活動および メディアへのフィードバック (例えば、農場ラジオ集会、テレビジョン・クラブ、読書グループ、映画クラブおよびターゲット・クラブのための、またターゲット・クラブによる反省会)を通じて、マスメディアを直接利用してゆくこと。 10マスメディアに加えて、それ以外の効果的なコミュニケーション手段にも注目し特に通常マスメディアの恩恵に浴さない地域の人々への接触をはかること。 11障害者によるか、障害者のための他の団体と共に、メディアに関するすべての行動を、全国的規模で調整すること。 写真の提供者 本冊子の中に含まれる写真は、 下記によって提供された。 表紙 1.カナダ障害者リハビリテーション協議会 2. 国際障害者年のための国連の新聞報道資料 3. CBC製作“私達自身のもの” という標題のテレビ映画から 4.アラン・トイ P.5 5 . IΒΜ社 P.6およびP7 6.国際障害者年ポスター (国際障害者年オーストラリア全国委員会) 7.エリザベス・ファンショウによる ”ラッチェル”。マイケル・チヤールトンによるさし絵 8.ユニセフのフィルム (トム・マロラによる写真) 9.国際障害者年国連新聞資料 P.8 10.国連提供写真、D. マングリアン 11 “フィーリング・フリー”のひとこま、アラン.J.ブライトン 12.国連提供写真、グリオジイ・ラョス/インターフォト MTI 、ハンガリー P.9 13.著作権1982 ワシントン・ポスト社 14.国際障害者年ポスター (国際障害者年オランダ全国委員会) 15.アメリカ盲人財団 P.10 16. チルドレンズ・テレビジョン・ワークショップ著作権1982、マッペット社 17.フィリピンのリハビリテーション 18. 国際労働事務所による国連の写真 P.11 19〜24。ニューヨーク市サイラキューズのヒューマン・ポリシー新聞 P.13 25. “近隣社会での新しい生活”という本の中からとったマーサー・パースケによる絵 26. ニューヨーク公共図書館 27.タイ国公衆衛生省による国連提供写真 P.14 28. チルドレンズ・テレビジョン・ワークショップ操り人形、著作権1982、マペット社 29. 国際障害者年用ポスター (国際障害者年オーストラリア全国委員会) P.15 30.チルドレンズ・テレビジョン・ワークショップ 31. WHO (国連世界保機構) およびI LO (国際労働機関) P.16 とP.17 32. パット・サウンダーの “パット・ピース” 33.ソビエト連邦タス通信者、V、ゲンダ・ロータ 34.オーストラリア N. S. W. A. ホワイトおよびV. パブロヴィック 35. ポーリー・デザイン