資料  投票における合理的配慮を欠く 問題事例の改善を求める 201の事例・要望集                              2022年5月31日                     認定特定非営利活動法人 日本障害者協議会   2021年10月の衆議院選挙では、投票率は56%と低く、そのうち期日前投票数は約19%にあたる2000万人を越えています。いうまでもなく、投票はきわめて重要な政治参加の権利ですが、障害のある人びとへの合理的配慮を欠く問題事例が寄せられています。  投票において、「合理的配慮の提供を欠く」という差別は許されません。それは障害者権利条約(第29条 政治的及び公的活動への参加)に反し、障害者差別解消法において定められた、「必要かつ合理的な配慮(「合理的配慮」)を行う」という義務に違反します。  私たちのよびかけ対して、2021年12月20日より2022年3月末日までにたくさんの事例や要望が寄せられました。それを整理し、「201の事例・要望集」としてまとめました。  参議院選挙を前に、ぜひ、関係する各選挙管理委員会などでご参照いただき、障害のある人の投票における環境整備が推進され、合理的配慮を欠くことのないよう適切な改善をお願いいたします。  1  情報のアクセシビリティに関連する問題事例・要望 1=「期日前」がはじまっているのに「選挙公報」が届かない。「裁判官国民審査」の「公報」はじめ、「期日前投票所」には電子データでの提供含め「選挙公報」を掲示して欲しい。 2=選挙公報の配布が遅すぎます。投票日の2日前に配付されたこともあります。これでは候補者の公約などをじっくり読んで選ぶことができません。投票受付用紙が郵送されると同時に、最低でも期日前投票が開始される時にはほしいものです。 3=点字の選挙公報が届くのが遅い。最高裁判所の判事の審査公報が届いたのは投票日の1日前だった。期日前投票には、さっぱり間に合わなかった。審査を受ける人は事前にわかっているはずなので間に合うように準備できるはずです。 4=選挙公報・選挙通知を点字版・音声版・拡大文字版、デジタル版、ルビふり版で提供して欲しい。入院・入所中の障害者にも確実に届けて欲しい。 5=選挙公報にルビをふってほしい。点字版もあるべきだ。 6=音声案内や点字による候補者の情報をもっと欲しい。 7=新聞紙の選挙公報が見にくい。最高裁判事の情報がわかりにくい。 8=選挙公報は写真も白黒で文字も小さい。高齢者や視覚障害、知的障害のある人にも分かりやすいものにして欲しい。また、点字では作成されていないと聞き公平でなく感じる。 9=ネットで選挙情報にアクセスしづらい。 10=選挙公報などが点字に限られている。事前登録制で、音声、拡大文字、メールなどが複数選択でき、希望に応じたメディアで送付してほしい。 11=最近は新聞をとっていないため、web上で候補者の主張を読めたらいいと思う。 12=すべての議員・首長選挙で選挙公報を発行してください。同時に、点字・録音物・大活字による選挙公報の発行を法制化し、全文のものを、選挙管理委員会の責任で全ての視覚障害者に配布する施策を講じてください。 13=盲ろう者のニーズに合わせて、選挙公報の拡大文字版、点字版、デイジー版、電子データ版(テキスト版など)の配布をしてください。 14=選挙公報の拡大文字版、点字版、デイジー版、電子データ版の媒体の利用が難しい盲ろう者に対しては、選挙管理委員会の責任において、盲ろう者宅を訪問し、選挙公報の内容を情報提供する通訳・介助員の公費派遣を行ってください。 15=すべての政見放送をテキストデータ化し、点字ディスプレイや拡大読書器およびメールなどでその情報を取得できるようにしてください。 16=政見放送での手話通訳や字幕を見やすくする。 17=盲ろう者からの求めがあった場合、選挙管理委員会の責任で、盲ろう者に対し、地域の実情に応じて、政見放送の内容を情報提供する通訳・介助員の公費派遣を行ってください。 18=私の住んでいる県では、県議会議員の音訳版のCDでの選挙公報がありません。私は中途視覚障害で、30歳代で始まった原因不明で全盲になったので、点字ができず、サインガイドを使って名前を何となくという感じで書いています。候補者の名前で、どの部分が漢字なのかわからず、全部をひらがなで記載しています。無効になっていたら嫌だなと思っています。正しい文字がわかったり、全部ひらがなでも良いかわかったらありがたいです。 19=字が読めない方が情報を得る時の配慮が全く無い。代理人投票についての説明がほとんどされてないので知らない方がほとんど。 20=知的障害のある人へのわかりやすい「選挙公報」が欲しい。 21=知的障害を持った人のために、公報などわかりやすいものを発行すること。 22=肢体障害(文字を自筆できない)のある人や言語障害のある人の投票所での支援を明確に公報してほしい。 23=立候補者の情報を理解するのには体調が良い時でないと頭に入らない、また一度に何人分もの情報を見るのは、ブレインフォグを悪化させるために 結局選挙までには間に合わない。選挙管理委員会から送られてくる情報紙面はそれぞれの方の表現方法なので様々なフォントであったり、表記の仕方が違うので、読むのに脳疲労を起こします(難病者) 24=郵送の投票時に送られてくる投票券の説明が煩雑です。投票用紙の色について、銀鼠色、とか見たこともない動物や花の名前が色名として書かれていて、大卒で日本在住50年近くになりますが分かりづらいものでした。改善をお願いします 25=参政権を行使するためには、選挙に関する情報の提供も重要です。参議院静岡補選については、静岡県視覚障害者情報支援センターより、選挙のお知らせをテキストデータで受け取ることができました。長泉町議員選挙については、投票日の直前にならないと選挙のお知らせが配布されず、代読も日程的にきびしいです。衆議院選挙については、テレビの政権放送を録画して、ボランティアでパソコン筆記していただき、それをテキストデータで受け取りました。  国民審査について。現状では、私は、事前に審査にかんする墨字資料のテキストデータをいただけず、何も情報を得ることができませんでした。このような状況では、審査することができないとおもいます。 26=自分が住んでいる地域がどの選挙区に属するかを視覚障害者に伝える対策を講じてください。特に、区割り変更が行われた場合には、必ず実施してください。 27=期日前投票においても、候補者一覧を速やかに設備するよう指導してください。 28=代理人投票をお願いした際、候補者を選択するものが公報しかなく弱視で重度の知的障害のある息子には選択しにくいと思いました。選管の方に顔写真のカラーの写真カードのようなものや、選挙のポスターの看板のような候補者一覧のカラー写真を用意して欲しいとお願いしたが、選挙法に触れるのでできないと言われました。 29=代理投票での意思の示し方が、白黒の公報誌ではなくカラーのもので誰もが分かりやすくして欲しい。  2  投票所のバリアフリー環境などの問題事例と要望 ◆投票・記入に関連して 30=簡易電動車いすユーザーなのですが、投票に行ったときに、車いす用の高さが低い記入デスクだけ、立候補者の貼り紙が無い。これには障害者は、名前を間違えて記入しても、どうでもいいという風に、軽視されてると感じました。 31=最高裁の裁判官の選挙では車いす用の高さが低い記入デスクが無い。通常の記入デスクでは机が顔の位置になってしまい、私は腕の力も健常者より弱いため、名前を上手く書けないのですが、障害に対して全般無関心なのかなと感じました。 32=私が投票所内で困った顔でしばらく固まってたのですが、スタッフが一人も、私の異常事態に気がつきませんでした。 33=低床の投票記載台で「イスに座って記入したい」と希望しても「車いす専用です」と断られた。投票用紙に安心して記入できる場所を確保して欲しい。 34=記入する際、台がぐらつくので固定してほしい(肢体障害者)。 35=車いすユーザーでなくても、座って投票用紙を書くことができる場も作ってほしい。机がガタガタ揺れて、手の不自由な人が書くには大変すぎる。 36=記載台は組み立て式のため、安定感が悪く、点字が打ちづらい。点字の仕組みを理解していない係員がわざわざ裏返しにして書かせようとする(点字板では、裏から打って表に出るようにする)。 37=障害者専用のブースがあると投票しやすい。ウーウーウとなってしまう場合。また介助者を選管でなく慣れた介助者や選管の場合、障害者に慣れた人を配置してほしい。 38=記名できない人がいて、代筆をお願いしているが、そもそも記名という方法がふさわしいのか疑問。書けない人には米国のようにパンチ式とか合理的配慮が必要ではないか。 39=車椅子使用者の高さの記入机はあるが、健常者が使用していて使えないことがあった。車椅子使用者用との掲示や係員の声かけが必要だと思う。 40=中途視覚障害なので、見える家族に、投票用紙の向きだけを教えてもらうと自分で書いて投票できます。ですが、毎回その説明をいちいちしないといけなくて、行くのをやめようかなと思ったりします。見えなくなっただけで、判断能力はちゃんとあるので、できれば「判断能力があやしい」人のような扱いはしないでほしいです。 41=目が悪いので、テーブルに立候補者のリストがあればよいのに(肢体障害者)。 42=点字使用者です。付き添ってくれた人によって、投函時(投票箱に投票用紙を入れるとき)代行しようとすることがある。私は、自分で投函すべきと思っている。 ◆投票所のバリアフリーや案内・誘導 43=投票所入口の仮設スロープが安定していない、係員がそこにはいない。多数同時に投票があるときに、レイアウトが悪いと次に何をするかわからなくなる。 44=駐車場から投票所まで距離がありフラフラになりました(難病者) 45=会場が狭い。スロープありますが、薄いベニヤ板1枚だけという”用意してあげました感”満載です。 46=東京都東村山市の事例です。わたしの地域はバリアフリーな市役所でなく、近所の中学校を指定投票所にしています。中学校では、道路からあがる敷石があり、中学校では急な階段があり(なけなしのスロープは設置してありますが一人では上れません)、投票するまで苦労が続きます。期日前投票なら市役所で投票できますが、選挙管理委員会から音沙汰がまったくなく、強制的に棄権させられました。 47=投票所の入口に段差がありますが、スロープ等は見当たりません。 48=投票所が狭い。いつも代理投票を頼んでいるが、私が小さい声で候補者名を伝えているにも関わらず、正面に貼ってある候補を鉛筆で「この方ですね」と言って指す。後ろから丸見えの状態になる。何十年もこれはやめてほしいと言っているにも関わらず改善しない。東京都清瀬市の選管は私の耳元でオウム返ししてくれた(肢体障害者)。 49=体育館等の広い会場で、会場に入るとたくさんの情報が一度に視覚的に入ってくる。流れを順番で示したり、今行うことに集中できる構造化が必要だと感じました。そうした工夫が無いと、自閉症や発達障害などで情報が一度に入ってきて整理が困難な方は、投票したくても会場の環境に不安を感じ落ち着かなくなり、投票できなくなる。 50=「カラーユニバーサルデザイン」に基づく投票箱の色分けや誘導矢印表示が欲しい。 51=色分けの誘導表示や障害者をサポートするコンシェルジュ的な方の配置。地域の投票所の職員が顔見知りの人であればいい。 52=指差しボードがあるとありがたい。コロナワクチン接種の際に、自治体職員も、委託先の社員も、指さしボードの存在を理解していなかったので、理解させなければならない(難聴者)。 53=寒い季節だと学校の体育館は寒すぎて体調を崩してしまうことがあるので適切な温度が保てる場所を会場にしていただきたい(難病者) 54=知的障害があっても、指差しで投票できるが、その場合、投票所が閉鎖されて当該知的障害者と選挙関係者とのやり取りで実施される。期日前投票で、複数人連れて行くと、一般の方たちを長く待たせてしまい迷惑感がある。 55=身振りでは難しいことがある。「身分を証明できるものを見せて下さい」など、説明されてもわからない。紙に書いても良いが時間がかかる(難聴者) 56=居住している建物が投票所になるのですが、車椅子で入りづらいため、郵便投票を使わねばならず、手続きが煩雑すぎます。アクセシビリティを良くしてほしいです。 57=在外投票でもそうですが、先進他国にくらべて明らかにアクセシビリティを悪くして、投票率を下げているように思われても仕方ない状況を改善しましょう。 58=下肢障害のある友人の高齢者夫婦に付き添い、期日前投票をしたことがあります。バリアフリーの市役所は会場まではスムーズでしたが、コロナ感染防止のために入口には消毒もあり、選挙の封筒とめがねを持ち、その上、配偶者の車椅子を押しながらの友人は混乱、持ち物を持ってあげ、夫は車椅子を押して介助。3つの投票ごとに、封筒から二人分の受付票を出し、受付・確認。あげくにはそれもどこかにいってしまう有様です。このシステムも簡略化できないものでしょうか。 59=車椅子用の低い記入台は設置してありましたが、混んでいたからかまたは無意識にか、健常者が使っていてどうしようかと、、、。そばにいたスタッフは注意もしません。一番強く感じたことは、スタッフの役割です。声かけなどの配慮やサポートも皆無でした。研修などされているのでしょうか。これではヘルパー等支援者が同行しないと投票できません。 60=記入場所まで何とか行けたが、正しく候補者を書こうと掲示板を見たが文字が小さくて読めなかった。事前の候補者確認も難しくなってきている現状もある(盲ろう者) 61=急に行っても同行は認めてくれない。事前に連絡をし、同行を認めるようにお願いをしなくてはいけない。以前、投票に家族と行ったら入口で止められ、「あとは、こちらでします」と言われ、記入場所まで選挙管理委員に連れて行かれた。「点字記入です」と伝えたら、投票用紙を点字板に挟んでくれ、記入する場所を指差しで知らせていただいた。投票箱にも投票用紙に入れる寸前まで選挙管理委員が同行した(盲ろう者) 62=地域に視覚障害者がたまたま多く住んでおり、家族が同行しても認められていた。弱視である事、自分には文字認識が無いので、候補者名の確認をしながら記入したいが、掲示板の文字が小さく、全て平仮名記入してきました。また、視覚障害がある事から晴眼者から見る不正行為の判断基準が理解できず心境的に仕方がないと諦めてきたところもある(盲ろう者) 63=投票箱に点字で選挙名を表示し、視覚障害者も自ら確認して投票できるようにしてください。 64=娘に同行してもらい投票所へ。投票所の記入する場所が弱視には思った以上に環境が悪く、何処に記入すれば良いのか? 分かりにくい(盲ろう者)。 65=正しく候補者の名前を書こうと候補者の名前を確認するも掲示板が小さい文字で読めなかった。確認を求めたい気持ちもあったが、家族に話しかけてはいけない、管理委員とは話しが通じないので、無記入で投票所を去りました(盲ろう者)。 66=本人、支援者がカラーのものを用意して持ち込めるとは聞いたが、投票記載台に立候補者のカラー写真、氏名があれば良いと思う。 67=せっかく出入口のスロープがあっても、入場者の靴が多数置いてあり、車椅子使用者がスロープを使えない状態にあったため、スロープに脱いだ靴を置かないよう、掲示や係員の声かけがあると良かったと思う。 68=視覚障碍者にとって、慣れない場所である投票所は一人では行きにくい。家族に支援を頼みにくい。ガイドヘルパーが少ない。ヘルパーの利用は自己負担の費用がかかる人もいる。 69=会場内で目が不自由な方の手引き方法が分からないスタッフに説明もないまま誘導されて、不安と恐さがあるなかで動いた。 70=投票所で点字投票について理解できていないスタッフが対応し、点字投票一式の準備や説明も含めて、1時間近くかかった(段取りがスムーズなら、1つの投票に10分程度で終了)。 71=弱視で文字が見えにくく、点字が初心者の頃に白杖歩行で期日前投票に行ったところ、白杖で視覚障害者と分かると状況やニーズも確認せずに点字投票に導かれて困った(点字を間違えると不安なため、枠の中に鉛筆を当ててもらい、鉛筆で記入して投票したかった)。 72=「直筆で記入が難しい場合は、口頭で伝えていただければ、スタッフが代筆する」と言われたが、選挙管理委員会や投票所のスタッフのなかに知人が何人もおり、”公開投票”をしているみたいで困った(視覚障害者)。 73=同日に複数の選挙が行われた時、点字で記入した後、見えないため、大変と思われたためか、説明や確認もないまま投票所にいるスタッフに投票用紙を投票箱に入れられて、直接、自分の手で投票箱に入れることができなかった。自分の手で確実に投票したかった思いと、次の投票用紙を記入している間に投票用紙がなくなったような、どこに行ったかわからなくなる不安な気持ちになった(盲ろう者) 74=弱視者のために照明、特に記載台の照明を明るくしてください。記載台の照明はライトの位置を低くして、手元を照らし出すようなものにしてください。 75=点字と同じように大活字の候補者一覧を用意してください。また、大活字の候補者一覧は、手に取って確認できるものも備えてください 76=掲示による候補者一覧は、投票台の目の高さに設置してください。 77=投票所に備え付けの選挙公報は少なくとも大活字のものにしてください。 78=鉛筆に加えて、太いボールペンやサインペンなども備え置いてください 79=記載台は、安定なものにしてください。点字の記載には、墨字よりも筆圧が必要です。 80=点字器は、小型点字器でなく、標準点字板を備えてください。小型点字器は、用紙がはめにくいものや、書きにくい場合があります。 81=一人では外出が出来ません。自分ではハンドリムを回せないので電動車椅子が必須ですが働けず収入は無く、障害者手帳が取得できないので補助を受けることも出来ないので投票所に行くことはできません。郵送投票も認めてもらえません。もし、車椅子があったとして投票所に行けたとしても、私が指定されている投票所は段差があり車椅子で入ることが出来ません。入れたとしても会場内も狭いです。多くの方が集まるので 嗅覚過敏の私は喫煙者の方についたタバコの臭いや香水、きつい柔軟剤の香で体調が悪くなります(難病者) 82=地域の公民館などが投票所になるが、まだまだ段差があり、行きにくいという声がある。私は、地域の段差がある小学校体育館へ、当日投票に選挙の度に毎回出かけ、ヘルパーさんと地域の方々の支援で車椅子を持ち上げてもらっていたら、段差にスロープがつきました。 時間をかけて運動したら環境が整うという事例です(鹿児島)。 ◆投票所を増やして欲しい 83=投票日当日は、靴を脱いで入る自治会館などが、投票所になっていることも多いが、最近では、バリアフリーが整ったショッピングセンターなどが、期日前投票所になっているので、助かっている。投票日当日でも、ショッピングセンター等で投票できるようにしてほしい(肢体障害者)。 84=公職選挙法(および政省令)では、施設が不在者投票場所を設置することができるのは、施設長の申請によりますし、この場合の施設とはおおむね入所者50人以上の施設です。また、投票日当日に、自治体が設置する投票場所へ、施設が入所・入居者の送迎を行っても行わなくても、障害者総合支援法の報酬には影響がありません。事実上、施設や施設長の考え方で、投票権を奪われていると捉えることができます。   障害のある人の権利条約を批准している現在、入所者数が50人以下の施設で住んでいても、ましてや施設長の意向に左右されることなく、投票の機会が、実質的に確保されるべき時代に入っているように思います。公職選挙法の見直しとともに、障害者総合支援法の移動支援や施設への報酬のなかに、投票権保障を義務付け、その報酬を位置づける等の必要があるように思います。 85=投票所がぼくのところから遠くにあります。そのため市役所に行きます(肢体障害者)。 86=当事業所は開設から25年以上たっているため、利用者の高齢化、その家族はもっと高齢化しています。投票所に行くだけでも大変で、最近は投票所までの送迎や投票所での意思表示への支援を行うケースが増えています。投票当日は日曜日で作業所が閉まっていたり、ホームでも支援者が少ないです。期日前投票は市役所でしかできませんが、近所で投票が出来れば支援もしやすくなります。事業所が会場になればもっと簡単にできます。  会場では知らない人の前での意思表示が難しい人もたくさんいます。支援者と一緒に入る事が許されたり、家族と事前に決めてきた候補者を自分で書かなくても有効にしてもらえれば、投票行動ができない利用者も投票ができると思います。また、顔写真や名前がはじめから書かれているものに〇をつける方法ならできる人もいます。 87=利用者数人と行くと他の人に待ってもらうことがあり、有権者の高齢女性から文句を言われたことがあった。 88=共通投票所(選挙区内の住所地であればどこの投票所でも投票が可能なもの、期日前投票所がその例)の設置を進めてください。 89=障害のある人にとっては、バリアフリー会場で、体調を整え余裕もって投票できる期日前投票は安心して投票できるのでいつも活用すると聞きます。しかし近年、期日前投票は、一般の人も含め増えつづけ全体の2割にもなっています。そんな中ですが、我が市は、期日前投票所の会場は市役所の一カ所しかなく、長蛇の列にならび、長く待たされることも多いです。選挙の封筒とめがねを持ち、その上・・・。会場をもっと増設してほしいと考えます。 90=駅やバス停、ショッピングモールなどに投票所を設置し、他の市町村の住人でも投票できるようになると投票率が上がると思う 91=自宅で介護を受ける人や療養者に対して、あまりにも投票しづらい。選管は必要な人の自宅に投票箱を持ってきてほしいと思う。 92=選挙当日に投票所に行けるかどうかの体調は分からないので、郵送やインターネットなど臨機応変にできれば助かります(難病者) 93=フィンランドではすべての病院で投票をやらなければならないという法がある。より身近な場所でもできるように施設・病院等に移動投票所を開設して欲しい。  3  投票方法、投票用紙などに関する問題事例・改善要望 ◆投票用紙など 94=投票用紙が記入する枠が少ないため、記入しづらい。 95=字を書くのが苦手な方には投票用紙は少し小さいかと思います。 96=目が悪い人がみえづらい。枠が小さすぎてわかりにくい。ふりがなを大きくしてほしい。 97=投票用紙の文字が薄い。点字投票の場合、特に国民審査では何人もの不信任を書いていると、人数の多い、少ないが分かってしまって困る。 98=書く道具を、いろいろ選べるようにしてほしい。用紙、書く欄をもう少し大きくしてほしい。 99=片麻痺なので、記入しづらいです。オンライン投票なら簡単ですが、なぜ導入しないのでしょうか? 時代遅れも甚だしいです。 100=用紙を大きくなってほしいです。 101=障害を持った人は字を書くことが難しい人が多いです。名前を記入するのではなく、候補者名が記載されている紙に〇やレを記入できる方法だと良いです。 102=期日前投票宣誓書は代理で書いてよいことや、投票用紙は枠から出て書いていても大丈夫であるなど、知らない方も多いと思うので、周知してもらう事で投票へのハードルが下がるのではと思います。 ◆投票方法 103=原則自書のみとする公職選挙法第46条が、自書の困難な障害者の投票権の行使を妨げている。 104=投票の仕方は、先程も述べたように、本人が選択する事が困難な資料しかないので改善して欲しいです 105=投票用紙を全員〇つけ方式にしてほしい。〇付けが難しい方には、視線入力等の機器でも投票できるようにしてほしい。 106=名前とか顔写真に〇をするだけなら、書きやすい。 107=利用者の方と市議選などに行くと、誰に入れるか決めていても、名前の沢山の羅列を見ると分からなくなってしまう。顔写真を持って行っても断られたことがあるので、最近は名前を書いたものを持って行っている。 108=投票所で掲示されている立候補者一覧に顔写真(ポスターで使用したもの)を掲載できないか。同時に、投票用紙に顔写真があり選択で済む方法はとれないか。知的障害に配慮して欲しい。政党を選択する場合は、色などで分けられないか 109=視力に障害がある方の投票行動に関しては、音声案内を実施するなどして欲しい。 110=候補者は名前だけでなく写真も載せて、視覚的に分かりやすくし選びやすくして欲しい。 111=投票方法も自分のタブレットやスマホを持参して、QRコードを読み取って行う形を取れれば、会場内を移動せずとも投票が可能になる。 112=インターネット投票を採用してほしい。 113=ほぼ毎日寝たきりなのでオンラインでの投票を可能にしてほしい(難病者) 114=セキュリティ等を完備したうえで、ネットによる投票も認めていくべき。 115=点字による在宅投票制度を復活してください。 116=自書主義にこだわらず世界の趨勢に従い、ボタン投票、記号投票などの導入が遅々として進まず、しかも公選法上、国政選挙では依然として自書投票のみとされています。少なからぬ人に大きな困難を招いているものと考えます。 117=私は、文字は書けますが、兄は自閉症で候補者の文字は書けません。名前に○する方式にしたりしたらいいと思いますし、選挙や投票が大事でなく、いかに障害者に目を向けられてる人がいるかだと思います。 118=山口市では投票の際、自分の点字器持ち込みは、可能です。以前、2行の点字器が用意されて、書きにくかったという事がありました(盲ろう者)。 ◆代理投票、通訳・介助者の同行 119=代理投票について、補助者を投票所事務員に限定する公職選挙法が、通訳・介助者を介して自らの意思を伝える必要がある盲ろう者や、自らの意思を家族・支援者に対してであれば伝えられる障害者の投票権の行使を妨げている。自らが選んだ同伴者による代理投票を実現して欲しい。 120=文字を書けない人は、候補者名や顔写真を指さすことで、選管に伝えればよいと、選管を呼び学習会を行った際に指導を受けた。その場合、選管は2人で対応し、不正が無いように代筆すると聞いた。その学習会を経て、投票に行ってみようかという当事者が増えた。選管の方が、「1票を棄権することで、声は届かないのです」と言われた言葉が胸にささっている。 121=抗精神病薬の服薬の副作用により、手の震えが生じて筆記が難しいことがありました。そのような際も合理的配慮として代筆が認められるとよかったと思います(精神障害者)。 122=私は候補者を見れなくなったから(候補者の事前把握も難しい)選挙には暫く行っていません。通訳・介助員の同行が出来るように当事者として努めたい(盲ろう者)。 123=父親がグループホームに行ったときに、ホーム側に「選挙はどうするのか」と尋ねると、「特別に介助はしない」というので、私の方で介助者を付け、投票に行った。 124=東京都知事選挙で、板橋区役所投票所内での通訳・介助者の同行を認めてくれませんでした。東京盲ろう者支援センターに相談し、センター長より都選挙管理委員会に確認してもらい、各選挙管理委員会に周知徹底をはかるとの回答をいただきました。その成果かどうかわかりませんが、東京都議会議員選挙では、前回と同じ投票所に行ってみました。今回は、選管担当者の立ち合いのもとで、通訳・介助者同行ですんなり入れました。何か不快な思いがあったりして、誰にも相談しないで、投票に行かなくなったり諦めた盲ろう者がたくさんいるのかなと思います。 125=ダウン症のある次男は20歳の頃から必ず投票にいき、参政権を行使してきました。候補者全員とはいきませんが街頭演説などに一緒にいき、握手してもらったり、ポスターをみて投票する人を決め、文字が書けなくなっていたので、親の私が書いたメモ用紙を投票当日に選管の介助の方に渡して代理で投票用紙に書いてもらい、本人の手で投票箱に入れるという投票の方法を20年近く行ってきました。  それが突然できなくなったのは、成年後見制度を利用している人は選挙権がないことへの訴訟がおき、当然、成年後見を利用していても選挙権はあるとした判決が出た後でした。この訴訟自体正しいもので判決も当然のものでしたが、選管の考え方がねじ曲がったとらえ方になったように感じました。  いつものように息子と一緒に行ったとき介助を頼んだ若い選管二名が「この人に意志はありますか?」と尋ねてきたのです。私は内心腹がたちながら「もちろんです」といっていつものメモ用紙を渡したところ、これは親の意志だからダメと受け取りを拒否されました。「いつもこの方法で行っています」といってもだめで選管の委員長に電話するよう言われたので説明しましたがだめでした。そのときは投票を断念しました。  そのあと、本人の意志ということでメモは渡さず、介助の人に付き添われて一覧表をみながらどれがいいか尋ねられましたが字が読めないので意志を示すことはできず、白紙投票でした。その後40代になり怒ることなどが増えるようになり知らない人に介助されて場所もなじみにない所なので「うーうー」うなることがあり、この3年間は毎回届く投票用紙の封筒を開封せず悔しい思いで処分しています。  本人をみて「意志はありますか?」と聞くこと自体障害者差別だと思います。字が読めない人への配慮、障害があっても投票できる仕組みを考えてほしい。北欧では候補者名ではなく政党で選び、政党の色などで投票できるので誰でも投票しやすいと。そのため投票率は90%近く。日本もだれでもが投票しやすい制度にすれば今のように30%とか50%などの投票率は上昇し、まともな政治家が当選する時代がくるでしょう。その時を願って活動していきます(東京・親) 126=知的または身体等の障害理由により代筆が必要な場合、本人を理解する人が行えるよう柔軟に考えるべき。 127=文字が書けないので、代理記入を利用しているが、パソコンやインターネットで投票できるようにしてほしい。その際、個人が絶対に特定できないようにしてほしい。 128=私たち視覚障害者には代筆が認められますが、手足が不自由で鉛筆がうまく持てない人、読み書きが困難な人もいると思いますので、代筆を身体障害者にも広げる、目が見えるから書けるだろうという思い込みをなくす努力が必要だと思います 129=公職選挙法を改定して、本人の決めた介助者の代筆が認められたらいいと思います 130=代理投票での意思の示し方が、本人、支援者がカラーのものを用意して持ち込めるとは聞いたが、投票記載台に立候補者のカラー写真、氏名があれば良いと思う。  131=代理人投票をお願いした際、候補者を選択するものが選挙公報しかなく弱視で重度の知的障害のある息子には選択しにくいと思いました。選管の方に顔写真のカラーの写真カードのようなものや、選挙のポスターの看板のような候補者一覧のカラー写真を用意して欲しいとお願いしたが、選挙法に触れるのでできないと言われました。 132=配偶者等でも代筆投票を認めてほしい。 133=兵庫県知事選挙が行われ、投票に行きました。室内の移動と記入時ともに通訳・介助員の同行が認められた=1人。家族と同行し、受付で担当者にかわる=1人。通訳・介助の資格をもつ家族が同行し、室内移動は認められたが、記入時は担当者で自筆=1人。通訳・介助は室内の移動は認められたが、記入時は担当者にかわり自筆=2人という状況でした。 134=選挙時に通訳・介助員の同行が認められていないので、選挙に行かない盲ろう者も多いと思われる。公職選挙法を改正し、通訳・介助員の同行が認められるよう要望をしていただきたいです。 135=選挙担当者は毎回かわり、人によって対応もかわる。説明の仕方で対応もかわる。法律を改正し、選挙に参加したい盲ろう者すべてが情報保障を受けて選挙に参加したい(盲ろう者)。 136=参議院補欠選挙、期日前投票=通訳・介助員の入室拒否されました。投票券がまだ届いてなかったので、通訳・介助員が書類に代筆、これは出来ました。係りの方が手引きをされスムーズに点字投票出来ました。 137=市町選、期日前投票=通訳・介助員の入室拒否。係りの方が手引きに慣れてないようで、盲ろう者自身が手引きのやり方を教えてました。点字投票をしようとしましたが、担当の方がいなくて待たされました。いつでも点字投票が出来る体制にして欲しいです(盲ろう者)。 138=私は全盲ろうですが、中途障害のため、記載範囲を教えてもらえれば、自力で筆記します。居住地の町議員選挙の期日前投票。妻の介助で投票場にいきましたが、妻の付き添いを断られました。職員が手引きして、投票用紙の記載。範囲を教えてもらって、自力で筆記しました。 139=衆議院選挙と国民審査。期日前投票。妻の介助で投票場へいきましたが、妻の付き添いをことわられました。職員がてびきして、小選挙区、比例について手書き文字でひらがなでおしえてもらい、投票用紙の記載範囲をおしえてもらい、自力で記載しました。国民審査については、投票用紙をてわたされたものの、何もせずに投票しました。視力があった時代は、選挙のお知らせをよむなどして、自分の思うところで対応(バツをつける)しておりました。しかし、今回は、バツをつけるスペースにただしく記載できるか? そもそも、バツをつけることで、選挙の秘密が守られなくなるという、現行の審査方法の問題もありますので、何もせぬままで投票しました。なにもしないことを賛成ととらえられる 現在の審査のあり方には、疑問がのこります(盲ろう者)。 140=参議院地方補選。投票日当日の投票について。自宅からあるいて5分ほどの学校で実施されました。妻の付き添いで会場にいきましたら、なんと、妻のつきそいのままで、投票ができました。安心して投票できて、感激です(盲ろう者)。 141=知的障害があると投票できないと家族が諦めている。代理投票など選挙に参加できる方法がある事を広めて欲しい。選挙は健常者のもので、障害者には関係ないものであるかのような法律があり残念です。 ◆郵便投票 142=1級以外の障害者にも郵送投票を導入してほしい。 143=2021年6月、新型コロナ自宅療養者に対して在宅投票の道が開かれ、7月の東京都議選でも郵便投票が行われましたが、@自書できない人A点字での投票は認められていません。総務省は、DPコート紙でなく一般の投票用紙への点字記載でも有効投票にならない旨答えています。自書できない人、点字で意思表示する人の投票権を守っていただきたい(視覚障害) 144=入院期間が長期にわたった際は投票ができなかった経験があります。国政選挙や統一地方選の際は、郵送投票の方法などの情報提供があると嬉しかったです。国は都度病院への通達を行うなど、働きかけをして欲しいです(精神障害者) 145=選挙情報の書かれた紙が直前にならないと届かない。体調が良くないとそれを読めない。投票所までは車椅子がない頃は行けませんでした。今も体調のとても良い日を選んで期日前投票に行きますが、体調が悪い日ばかりなので行けないことも大いにありえます。郵便投票ができるようにして欲しい(難病者) 146=郵便投票が難しいなら投票箱を持って家に来て欲しい(難病者) 147=施設入居のため施設でまとめて投票できるようにして頂けると有難い。またはインターネットや手帳が無くても郵便で出来るようにしてほしい 148=事前登録制で、自宅投票ができるようにしてほしい。私はこれを出前投票と呼んでいる。投票に行きたくても家族に言い出せない人、既に諦めている人など、環境が整えば投票したい人は沢山いる。障害者に限らず、寝たきりの人や歩くのが不安な高齢者などで投票所に行けない人も対象とする。車を持たない高齢者や交通機関が非常に不便な人も対象になる。投票箱を持った係員と立会人が車で訪問すればすぐに実行可能である(難病者) ◆裁判官国民審査関連 149=「裁判官国民審査」用紙のマス目はめちゃくちゃ狭く、不随運動がある人には記入困難。 150=視覚障害者は、審査で×をつける場合は、一人一人の裁判官の名前を、自らが点字で打ち、バツ(×)を打つ。投票方法を改善して欲しい。 151=「裁判官国民審査」用紙には、裁判官の名前を点字で書いた物を用意し、視覚障害者には○と×のはんこを渡し、それを押すという方法はどうか。はんこには、浮き上がりの印をつけて、それが○か×かわかるようにする。」 152=点字使用者です。国民審査で、最高裁判事の罷免広報者を選び、×印を付与するにあたり、当該判事の指名から書かなければならず時間がかかる。 153=点字で当該判事の氏名を書くには投票用紙が小さすぎる。 154=国民審査には、もともと障害の有無にかかわらず、問題点はあるものの、せっかく該当者のプロフィールや実績の情報を得られるようになったので、何とか1枚の投票用紙に書き入れてきたが、点字のマス数を数えながら工夫したりしてたいへんでした。 155=最高裁判所裁判官国民審査の投票方法を改め、点字使用者が投票しやすく、しかも秘密が守られるようにしてください。 156=点字公報を早急に法制化してください。国民審査は、議員選挙と比べて、被審査者の氏名が早くわかるはずであり、点字公報を作る期間が確保できると考えます。 157=裁判官の信任投票は、見えないと完全にアウトです。普通に見えていた時は、?を付けた事はなかったのですが、自分で判断できていたので、少し残念な気持ちです。でも、点字ができないので、どうしようもないのかなとは思います。  4  その他の問題や意見 158=選管が本人をみて「意志がありますか?」と聞くのは障害者差別です。意志があるから投票に来たのです。そのようなことがないように選管委員長は選管の意識付けを行ってほしい 159=障害があるということで殆どの親が諦めているというのが現状ですが、18歳に引き下げられたのであれば、特別支援学校や高等養護学校などで親子を対象にした選挙の説明会があればと思います。また事業所でも投票できるようにしてもらうとか、柔軟な投票の仕方ができるようになって欲しいとと思います。 160=マニフェストを理解して、立候補者を選ぶことができない知的障害者は投票する権利がないだろうという意見もあると思います。それはそもそもどう考えたらいいだろうと、市の選管事務局さんに聴いてみます!若者と障害者が構えずに投票できるようになってほしいです。 161=自治体に対して、障がい者の参政権を行使できるよう国として講じるべきではないか 162=合理的配慮の事例が示されることは障害当事者も遠慮なく申し出ができるきっかけにもなると思います。貴重な取り組みありがとうございます。 163=係の人に、字が書けるかどうかなど、後ろから覗き込んで見られたり、確かめられたりして、不快な思いをしたことが何度もある。市民、国民が権利を行使する場で、障害者だけが権利主体として尊重されていないように感じられた。 164=筋ジス病棟で暮らしてます。期日前投票を代理投票で投票しました。代理記載人の管理課員に、指さししてもらって投票しました。立会人には投票内容が知られないようにするためカーテンの外で立ち会ってもらいました。 165=「当日投票したくても足がない」「タクシーを使ってまで行く余裕はない」という声に、なんとか投票する権利を行使してもらいたいと思い、社会福祉法人に送迎をしてもらえないか相談したら、対応してもらえて、期日前投票を希望する人、当日投票を希望する人に分けて、送迎を無料で行ってもらった。 166=障害者手帳取得が非常に困難で、障害者総合支援法の対象にもなっていない難病の人には、投票所まで歩いて行くことができなくても車いすは支給されず、期日前投票することもできない人がたくさんいる。改善して欲しい(筋痛性脳脊髄炎の会) 167=特別支援学校において、学校間格差があるかもしれないが、選挙についての教育が足らない。投票箱を借りて、当日に近い形で教育活動がされている学校もあればわが子の学校は、生徒会の選挙くらいでしか学ぶ機会がなかった。 168=2020年の知事選挙。知的障害のある人への合理的配慮のマニュアルがないと言われた。会場で職員に声をかけて依頼してくださいと言われた。郵便等による不在者投票は、身体障害者手帳か戦傷病者手帳をお持ちの選挙人とのこと。不公平ではないかと感じました。 169=2013年の公選法改正により、成年被後見人の選挙権が回復したことは、当然とはいえ、喜ばしいことでした。ただし、その一方で、代理投票で代筆できるのは投票事務従事者(投票所にいる係員)に厳しく限定されました。これにより、@ただ単に字が書けないだけで、判断力には全く問題のない人(利き腕を骨折した、といような人を含む)も、見ず知らずの公務員に対して自分がどの政党・どの候補者に投票するかを明かさねばならなくなった。A重度の障害を抱える人の場合、日常的に接しているヘルパーや家族でないと、本人の意思表示を読み取ることは困難であり、代筆を初対面の投票事務従事者に限ることは不合理である。B本人の意思で投票可能かどうかを投票事務従事者が判断することとされており、不可能と判断されれば投票から排除されることは、差別そのものである。・・・といった新たな問題が生じることになってしまいました。 170=重い知的障害を伴う自閉症18歳の女性の母です。市の選管よりお誕生日カードが届いたものの、どうやって投票できるのか分からず、選管さんを招いて定例会をすることにしました。写真カードなどを使えば曇りのない感性で選べるのではないかと期待しておりお願いしていこうと思います。 171=障害者の投票を進める意見&提案  各自治体の選挙管理委員会は、その地域にある障害児学校、学級、福祉施設に行き、「投票に行こう」の学習会を実施することを提案します。 <実施例>東京都練馬区選挙管理委員会では、2年程前、福祉型専攻科「More Time ねりま」と一緒に「選挙に行こう」という障害者に対するイベントを行いました。   初めに選管から選挙に関する簡単な説明をします。クイズで投票用紙は何でできているのかなどの話をして、みんなで投票箱を組み立てて投票場を作りました。  立候補者は3人で、職員がそれぞれの役に扮して選挙演説を行います。正面の大スクリーンにそれぞれの公約に基づいて福祉施設、運動のできる体育館、大商店?など障害者が暮らしやすい建物の映像が出ます。その後、それぞれの候補者に質問をし、いよいよ投票に入ります。選挙管理委員の方は、字が書けない人は、投票したい人を書いた紙や選挙公報を切って持って行けば立会人が書いてくれることを伝えます。  そうして投票が終わってめでたく福祉施設の公約をした女性の方が当選となりました。  練馬区選管は、その後、都立練馬特別支援学校でも3年生全員にその授業を行いました。候補者は勿論教師がなりましたが、投票場の係などは生徒が行いました。字が書けなくても候補者の名前を書いた紙を持って行けば投票できることは教員も知らないでいて驚いていました。候補者の名前を間違ったら消しゴムがないとか、トラブルについてもその場で説明があり、共有することができました。  このように、各自治体の選管が障害者施設に授業に行くことをすれば、親も知的障害児の選挙権行使に自信をもって行くようになると思います。 172=投票所に行くこと自体が厳しいです。 障害者手帳がないと様々な面でサポートや例外が認めてもらえないので社会参加が制限されます(難病者) 173=1人歩きが困難な視覚障害者の自由な投票の権利を平等に保障してください。視覚障害者の歩行・移動には、常に「落ちる・ぶつかる・躓く・迷う」の危険と不安が伴います。自宅から投票所まで案内するヘルパー制度を、選管と障害福祉の連携によって実施する形で実施してください。バスなどによる移動投票所を制度化してください。 174=大阪府豊中市在住の中田泰博さんが、それ以前と同様にヘルパーに代筆を頼もうとしたところ、公選法上、代筆できるのは投票事務従事者に限られているとして選管から拒否され、投票できなかったという事件が起こりました。  中田さんは、「投票の秘密をあきらめるか、それとも、投票自体をあきらめるか? こんな究極の二者択一を迫られること自体が障害者に対する差別であり、憲法違反・国際法違反だ」として、2017年3月、国を相手に裁判を起こしました。  憲法学・人権論が専門の倉田玲氏(立命館大学教授)、国際人権法・障害法が専門の川島聡氏(岡山理科大准教授)の意見書も提出したが、一審の大阪地裁、二審の大阪高裁はいずれも中田さんの訴えを退け、中田さんは上告したものの、最高裁は、憲法裁判であるにもかかわらず、「上告理由は刑訴法が規定する上告事由に該当しない」として「門前払い」の棄却という結果となりました。 私たち「国賠訴訟を支える会」は、今後は「『障害者と投票』を考える会」と改称し、引き続き、公選法のいびつな規定により、投票から排除され、参政権を奪われている人がいることの不当性を訴え続けていくつもりです。 175=投票所内への通訳・介助員の同伴については、投票管理者の認めを受ければ可能です(公職選挙法58条3項)。問題は、投票所における投票です。当該選挙人である盲ろう者が自身で点字を打つことができるのであれば、点字投票が可能です(同法47条)。点字を打つことができない場合、代理(代書)投票(同法48条)の制度があります。しかし、同法48条2項により、投票所事務従事者から2名の補助者を投票管理者が定めて代理(代書)投票をすると定められています。つまり、当該選挙人である盲ろう者が選択した通訳・介助員に代理(代書)投票をしてもらうことは、法律上できない定めとなっています。  大阪の脳性麻痺の選挙人が自ら選んだ人による代理(代書)投票ができなかったことについて裁判を提起していますが、大阪地裁でその主張は認められず、本年8月30日の大阪高裁の判決でも認められませんでした。  裁判では、@「身体障害者手帳に両下肢、体幹、移動機能の障害の程度が1級又は2級である者として記載されている者。身体障害者手帳に心臓、じん臓、呼吸器、ぼうこう、直腸、小腸の障害の程度が1級又は3級である者として記載されている者。身体障害者手帳に免疫、肝臓の障害の程度が1級から3級である者として記載されている者」に対しては、郵便による不在者投票が認められるところ(公職選挙法49条2項)、郵便による不在者投票では当該選挙人が自ら選んだ人に代理(代書)して投票することができる(同法49条3項)ので、投票所での投票も同様にすべきである。 A障害者権利条約29条(政治的及び公的活動への参加)の(a)項Bは「選挙人としての障害者の意思の自由な表明を保障すること。このため、必要な場合には、障害者の要請に応じて、当該障害者により選択される者が投票の際に援助することを認めること」と定めている、と主張したのですが、裁判所では何れの主張も認めませんでした。  しかし、この結果は明らかに障害者が自分の意思で投票する機会を奪うものであって、不当なものであると私は思います。  現在、上記事件は上告され、最高裁での結論を求めることになります。公職選挙法の改正を求める立法運動も必要となると思います(弁護士) 176=困ったときに解決できた方法です。自分で点字機を持参して点字投票をする。投票時の投票用紙を書く場所が自分の目には暗いため、懐中電灯と定規を持参して、定規を枠にあてて、直筆で書くことができた。 177=投票に行く日が早めに決まれば、予め、市役所や選挙管理委員会に期日前投票に行く時間と場所、必要とする配慮(点字器セットや資料など)を連絡しておくことで、点字投票に理解があり対応できるスタッフや点字器などを準備いただき、スムーズに投票できた。 178=期日前投票の事務手続きをする際、予め、投票用紙は自分で投票箱に入れたいことを伝えて、自分で投票ができるようになった。 179=視覚に障害のある方の手引きの方法や心掛けていただきたいことを担当されたスタッフに伝え、スタッフ内で共有してほしいことを選挙の度に伝えることで、選挙が行われる度にスタッフの手引きが改善されてきた。 180=市役所で期日前投票をする際、障害福祉課へ立ち寄って、投票所へ案内していただくことで、現場で理解と協力を得やすくなった。 181=点字による情報提示は難しいと言われ、市役所から公報原稿のテキストデータを墨字の選挙公報が各家庭に届く日にテキスト版をメールで送付いただき、読んでから投票ができた。 182=不定期でも市役所へ訪問して、選挙や情報のバリア、合理的配慮への理解と対応いただけるように話をしてきた積み重ねで顔と名前を覚えてもらい、親切に対応いただけるようになってきた。 当事者が政治に参加する(選挙で投票する)こと、その場で困ったことや支援のニーズを伝え、共有していくことが何よりの改善につながることがある。 183=障害者差別解消法や障害者差別解消条例などの合理的配慮が義務化されていることを説明することで配慮や支援が受けやすくなった。 184=投票所の雰囲気が重苦しいと感じる人が少なくないため、リラックスして投票所に入り、気楽に投票ができる環境や雰囲気づくりをしてほしい。(BGMや曲を流したり、スタッフの明るい優しい対応など) 185=盲ろう者を含めた合理的配慮や支援が必要な有権者への選挙における合理的配慮や障害への理解のためのガイドブック作成、スタッフ間の共有と共通理解、当事者を招いての説明会などをしてほしい。 186=選挙公報、チラシ、投票所での情報提供について、点字版、拡大文字版、メール版、電子データ(ワード版、テキスト版)、音声版を求められた時に速やかに対応できるようにテキスト版などの電子データをすぐに出せるようにしてほしい。 187=ホームページに掲載されている情報は、情報を閲覧する人がアクセスして探さなければ掲載されているかどうかも分からないため、当事者団体へホームページにこうした情報を掲載する旨のお知らせをしてほしい。 188=投票所では、タブレット端末を常備して、弱視の盲ろう者が見やすい文字の大きさ、色、形、コントラストで表示したり、音声読み上げができるようなシステムを導入してはどうか。 189=通訳・介助員、同行援護ヘルパーの付き添い・同行が自然にできるように理解と柔軟な対応をお願いしたい。 190=情報が入りにくい、入らない、移動やコミュニケーションが難しい盲ろう者へ直接、情報が届き、理解し、自己選択、自己決定ができる支援をお願いしたい。 191=電子投票システムを検討、導入する際には、必ず、盲ろう者や盲ろう者団体へのヒアリングや協議の場を設けてほしい(盲ろう者) 192=選挙に通訳者か家族かによりますが、話し合いをよくしてから会場に行くことが先ず大事です。自分が言うべきことは本人の口で言いたいのに担当者は付き添いに話してしまう本人に確認してほしい。 193=点字投票者がいるのだということを分かってもらうためあえて点字で投票をしている。初めは担当者も慣れず投票用紙のセットの仕方もわからないようでしたが何度か選挙を実施しているうち対応がスムーズになった気がします。 194=投票箱に投入するのは自分の手でしますとはっきり言います。はじめのころは入れますかなどと声をかけられたこともありました。 195=選挙立会人はどこに座っているのか聞いておく(投票が終わったらかるく頭を下げて帰ってくるようにしています。 196=投票場ではとかく家族が手を出しすぎます。担当者に終わるまで手引きをしてもらうので家族は入口で待っているようにと話をしておくようにしました。 197=期日前選挙の場合は、まだ点字投票はしたことないので期日前の場合の対応を知るため点字で投票するつもりです 198=期日前選挙の場合担当の手引きの人がいます。特に誘導の仕方や状況説明の仕方がよくありません(選挙管理委員会等で前もって学習が必要だと思います)。 199=担当の方に覚えてもらうためにも自分から状況を聞いたり誘導の仕方などをこうして下さいなどとお話をするようにしています(盲ろう者)。 200=期日前投票に行ってきました。7月には、東京都議選の当日投票に行ってきましたが、この時は、家族が一緒に会場へすんなりはいれました。点字の候補者名簿、点字器、点字を打つために簡易の机とイスの準備もしてくれました。ところが、昨日は、少しようすがちがいました。会場入口の受付のところで、係員さんが、「案内はわたしがします」と言って、ぼくの手を引きあるきはじめました。しばらくあるいていて、どこへつれて行かれるのか心配になりはじめました。「点字投票をしたい。それから、ふらつきがあるので、いすに座って記入したい」と伝えました。そしたら、ぼくの伝えた通り、いすのあるところへ案内してくれました。机に点字器と投票用紙をおいてくれたのですが、「候補者の名簿が、点字であるはずなので、それをください」と伝えました。そしたら、後ろから家族が来て、通訳を始めました。家族が言うには、「係員はずっとKさんに話し続けていた」とのことでした。はなしかけられても全く聞こえず、わかりません。それなら、最初から通訳・介助者同伴で投票所内に入ればよかったと思います。ぼくが、「点字の候補者名簿がほしいとつたえてる」と言うと、「点字の名簿はないとのこと。通訳をしてもかまわないとのことだったので、候補者名簿を読みましょうか」と教えてくれました。ということは、投票所内に通訳・介助者が入って、投票に必要なコミュニケーションの支援はしてもよいという解釈になりますね。入口では、「ここからはご案内します」と誘導されて行きましたが、入口での交渉が必要だったのかなと思います。また、今回点字の候補者名簿が用意されていなかったということには唖然としましたね。そう言えば、点字の選挙公報紙の点字版もまだ郵送されてきていません。とりあえず、家族が候補者名簿を指点字で読んでくれました。  国民審査の投票の場合は、名簿に名前がかかれているだけでどこのだれだか分かりません。名簿の中から裁判官として「ふさわしくない人を削除」という、これは、ろう者や盲ろう者にはわかりにくい質問の仕方ですよね。  整理すると、最初は会場入口で、係員に誘導され、家族の者は会場に入らないという状況でしたが、ぼくと係員のコミュニケーションが全くとれていないことを観ていた家族が無理やり会場の中へ入ってきて、通訳を始めたという状況でした(盲ろう者)。 201=全日本視覚障害者協議会「新型コロナ感染等による外出自粛要請者に対する投票権の保障を求める声明」です。ご参照いただきたい。  2021年6月、新型コロナウイルス感染の増大により「特定患者等の郵便等を用いて行う投票方法の特例に関する法律」が成立しました。同年7月、東京都議会議員選挙において外出自粛を要請されている自宅療養者に対してこの法が適用され郵便投票が行われました。  さて、視覚障害者の意思表示の一つである点字投票制度は、1925年男子への普通選挙法成立により合法化され、1946年には女子にも拡大されました。今般、2019年7月の参議院議員選挙の比例投票での点字投票数は6728票です。  しかし、特定患者等の郵便等を用いて行う投票方法の特例に関する法律では、自宅療養者のうち、点字による投票や自書できないものへの代理郵便投票は認められていません。   参政権は1948年の国連の定めた世界人権宣言でも日本国憲法でも堅持されなければならないこととして規定されています。   全国民の参政権の保障として、北欧諸国で行われているような選挙管理委員会による投票カーの導入や移動式期日前投票の制度を柔軟に応用し、感染症等で外出自粛を要請されている方の投票権を守っていただくことを要望します。   2021年7月23日 一般社団法人 全日本視覚障害者協議会 ◆日本障害者協議会(JD)の「投票における合理的配慮を欠く問題事例  の改善を求める201の事例・要望集」の意義 立命館大学法学部教授  山本 忠  このたび、JDが加盟団体に呼びかけられてとりまとめられた「投票における合理的配慮を欠く問題事例の改善を求める201の事例・要望集」を拝読する機会をいただきました。    そこでまず感じたことは、日本国内の多種多様な障害者団体が大同団結するJDが障害のある人の参政権保障という課題に正面から取り組まれたということの意義の大きさです。JDは1981年の国際障害者年を契機に「完全参加と平等」や「ノーマライゼーション」の実現を目的として誕生した組織ですが、参政権保障はこの目的理念の一部です。障害のある人々は、単なる保護の客体ではなく、国民主権の日本では、参政権の担い手、主権者なのです。2014年に日本も障害者権利条約に批准していますが、障害のある人々も権利主体であるという主権者意識が高まってきたからこそ、こうした問題にJDが正面から取り組まれることになったのではないかと考えています。    次に「201の事例・要望集」を拝見して考えたことは、障害のある人々を取り巻く参政権保障の状況は、もう何十年もほとんど変わっていないということです。私が障害のある人々の参政権の問題に関心をもつようになったのは、1986年に1審判決の出た和歌山県御坊市で起きた玉野事件と出会ったことがきっかけでした。言語障害をもつおばあさんが自分の支持する人を応援したくて、近所に数枚のチラシを配布したところ、それが法定外文書配布にあたるとして公職選挙法違反に問われた事件でした。日本の公選法は不正防止を名目に世界的にも異例といわれる規制を選挙活動にかけています。この法の下では、選挙期間中、障害のある人々の選挙活動は大きく制限されてしまうのです。このことをきっかけに障害のある人の参政権の実態を調査し、課題をまとめたのが、井上英夫編著『障害をもつ人々と参政権』(法律文化社、1993年)と井上英夫他編著『障害をもつ人々の社会参加と参政権』(法律文化社、2011年)です。障害のある人々の投票についての問題指摘もこれらの研究で既に指摘されているのですが、問題状況の水準はほとんど変わりないといってよいでしょう。投票所の記載台のぐらつきや照明の明るさの改善などの配慮は、法改正をまたなくとも、選挙管理委員会の裁量でいくらでも配慮できることではないでしょうか。  第3に考えたことは、2013年の障害者差別解消法の成立と2014年の障害者権利条約の批准によっても、選挙管理委員会をはじめとする行政機関の問題認識はほとんど改善されていないのではないかということです。本来、国民主権を原理とする日本国憲法の定める選挙は、経済的にも社会的地位にも左右されない普通選挙、平等選挙でなければなりません。ここでは身体障害の有無も知的水準も問われてはいけません。そうした国民の基本的権利である投票の権利が侵害されている事例が、「201の事例・要望集」を読むと、いくつも出てきます。125番や158番の事例などは、明らかに障害者差別、人権侵害の疑いが高い事例だといえます。せっかく投票所まで出かけながら、子どもを見て「意思はありますか?」と聞かれ、投票を断念した時の親の無念さ・悔しさはどれほどのものだったでしょうか。159番にも書かれているように、障害があるがゆえにほとんどの親が諦めているというのが大勢だとすれば、それは明らかに障害者権利条約と差別解消法の目指す社会の在り方とは異なるはずです。選管をはじめとする行政機関の職員は選挙の適正執行ばかりに目を奪われるのではなく、人権の守り手としての役割も担わなければならないということを自覚すべきです。そのためにも障害のある人の参政権に関する研修を充実強化することが求められているのです。権利条約の批准から8年目になることを考えると、168番目のように、障害者への対応のマニュアルがないという言い訳はもう通用しないでしょう。なければ作って研修し、学ぶべきです。  さて、JDはこのたび「201の事例・要望集」をふまえて、要請書をとりまとめました。2022年は参院選挙という大きな国政選挙があり、障害のある人々の参政権保障の観点から緊急に現状を改善すべきであると考えたからです。郵便投票・代理投票の適用拡大など時間をかけて法改正しなければならないものも含まれていますが、要請の内容は、現行法の枠内でも選挙管理委員会の裁量で対応できるものが多いはずです。  JDの今回の要請活動に対し、関係各機関が誠実に対応され、日本の障害のある人々の参政権保障が前進することを願っています。 担当事務局  薗部英夫(日本障害者協議会副代表)  白沢 仁(日本障害者協議会理事)  内田邦子(日本障害者協議会理事)  山本 忠(立命館大学法学部教授) 連絡先=日本障害者協議会(JD) 東京都新宿区戸山1-22-1 日本障害者リハビリテーション協会内     メール:office@jdnet.gr.jp   TEL:03-5287-2346 ◆参考資料  障害者権利条約第29条 政治的及び公的活動への参加  締約国は、障害者に対して政治的権利を保障し、及び他の者との平等を基礎としてこの権利を享受する機会を保障するものとし、次のことを約束する。 (a)特に次のことを行うことにより、障害者が、直接に、又は自由に選んだ代表者を通じて、他の者との平等を基礎として、政治的及び公的活動に効果的かつ完全に参加することができること(障害者が投票し、及び選挙される権利及び機会を含む。)を確保すること。 (i)投票の手続、設備及び資料が適当な及び利用しやすいものであり、並びにその理解及び使用が容易であることを確保すること。 - 24 -