障害の種別や立場、考えの違いを乗りこえ、障害のある人々の社会における「完全参加と平等」や「ノーマライゼーション」の理念を具体的に実現することを目的として、各種事業を全国的に展開しています。

26年8月20日更新

2026年「すべての人の社会」8月号

2026年「すべての人の社会」8月号

VOL.46-5 通巻NO.554

巻頭言 8月15日「終戦の日」に思うこと


JD理事 赤平 守



 子どもの頃から、8月は夏休みやお盆というだけではありませんでした。8月6日の広島原爆投下の日、9日の長崎原爆投下の日、そして15日の終戦の日。それぞれに戦没者、死没者の慰霊のための式典が行われ、内閣総理大臣が参列(義務ではない)、その様子をNHKが必ず生中継をする。さらに終戦の日の正午には、式典会場だけでなく、この時期に開催している全国高校野球甲子園大会の試合までも中断して選手・審判や観客が全員で、黙祷をささげる光景は今も変わらず続いています。

 さて終戦の日、1945(昭和20)年8月15日の正午とは、昭和天皇の「玉音放送」がなされた時間です。史上初めて天皇の肉声がラジオから全国に流れた瞬間であり、事実上の終戦宣言でした。その後、日本の終戦の日は8月15日と国民にも定着していくわけですが、実際、その放送の内容を当時の国民がどれほど理解できていたのかというと甚だ疑問が残ります。事実、約4分半の放送時間の中に「降伏」や「敗北」という言葉はなく、結論としては「今までの様々な事情を鑑み、日本はこれ以上、戦争を継続することが出来なくなった」というものでした。

 一方、アメリカをはじめ連合国は9月2日、東京湾内に浮かぶ戦艦ミズーリ号で行われた、日本の降伏文書調印式の模様をラジオで全世界に向けて生放送。このことで国際的には9月2日が終戦の日という考えが広く認知されることになりました。

 このように終戦の捉え方も様々なのですが、戦争当事国ばかりでなく、戦争に巻き込まれた、大国の植民地だった国々のことを忘れてはなりません。特に日本の支配下にあった朝鮮半島の人々にとって、8月15日の日本の敗戦は、35年間に及ぶ過酷な植民地支配の終焉。日本に奪われた名前、言語、文化そして人間としての尊厳を取り戻した『解放(光復)』の日として記念すべき日となりました。

 その後の戦後処理で、アメリカ・ソ連の軍事対立のあおりを受け、38度線を境に南北に分断され、韓国と北朝鮮という二つの祖国にされるという理不尽な歴史を背負わされた朝鮮半島ですが、現在も、8月15日を韓国では「光復説」、北朝鮮では「祖国解放記念日」という公的に国家の重要な祝日として位置づけられています。

 1945年から80年余り、世界大戦はありませんが、世界中で民間人(弱者)が犠牲となる戦闘が絶えたことはありません。「力による平和」を声高に唱える愚かな権力者たちに決して迎合してほしくない。甲子園での黙祷が途絶えないことを切に願う2026年の夏です。

視点 W杯こぼれ話
                  

JD代表 藤井 克徳



 ワールドカップ(W杯)が終わった。素人目にも面白く、アドレナリン(興奮時)やセロトニン(すっきり時)などの脳内物質をたっぷりと分泌させてもらった。面白さの合間に考えさせられることもいろいろと。

 高校野球のファンがよく言う。本当の醍醐味は決勝戦ではなく準々決勝もしくは準決勝だと。今回のワールドカップはそれを地でいった。ベスト8には役者が勢ぞろい。ベスト4に至ってはサッカーファンにとってよだれの出るような組み合わせとなった。スペイン、アルゼンチン、イングランド、フランスとなると、大会前に公表されていたFIFAの1位から4位までである。絵に描いたようなシナリオが現実のものとなった。「決勝戦はおまけのようなもの」と言うのは言い過ぎかもしれないが、それくらいベスト8、ベスト4の顔ぶれは圧巻という他ない。そのすべてを称えたいという意味である。

 にわか評論家としていくつか記す。まずあげたいのは、せっかくの好試合や好プレーを台無しにするような事態が起こったことである。登場人物はトランプ大統領とジャンニ・インファンティーノFIFA会長で、事もあろうに2人の関係の中で米国選手に特別の取り計らいをしてしまった。レッドカード(重い反則者への罰則)をもらった選手は次の試合に出場できないのが通常であるが、これを反故にしてしまった。世界中にブーイングが響いた。ワールドカップの歴史に残る汚点となろう。

 監督についてもいろいろと感じた。注目したのは準決勝のフランス対スペインだった。結果は、あれだけ個々のプレーと得点力を誇るフランスが、生き生きとしたチームプレーでスペースを消していくスペインの前に完敗だった。中継から伝わってくるのは、フランスのデシャン監督のこわばった顔であり、好対照だったのがスペインのデ・ラ・フエンテ監督だった。もしかしたら、監督と選手たちとの距離感や、選手に抱かせるプレーイメージに相当な開きがあったのかもしれない。そこで気になるのが森保一監督であり、日本のサッカー界である。ベスト16敗退後のインタビューでこう話していた。「足りないのは個の力」と。毎度のフレーズであり、もはや念仏も同然である。このままでは、ベスト8どころか、ベスト16の壁さえ越えられないのではと思う。

 もう一言述べておく。それは個人技と組織技の関係である。今大会でも、メッシやエムバペ、ヤマルなど、華麗で卓越した個人技をタップリと見せつけられた。しかし、個人技だけで勝利が得られるかとなると、そうではない。精緻で、鍛え抜かれた組織技の押し上げが必須となる。それでもなお決め手となるのは、独りが放つシュートである。複数では蹴ることができない。そう考えると、個人技と組織技の絶妙な組み合わせこそが勝負の分岐点になるのだと思う。有体(ありてい)に言えば、「俺が俺が」と「みんなでみんなで」のほどよいミックスということになろう。

 これはサッカーだけの話ではない。日常の仕事や活動に引き付ければ、これまたいろいろと考えさせられる。決勝戦は、あえてどちらにも肩入れしなかった。着眼点はハッキリとしていた。

「俺が俺が」と「みんなでみんなで」のベストミックスを貫いたのはどちらか、ここにポイントを置いて聴き入った。わずかに勝ったのはスペインだった。

2026年7月の活動記録



いのちを切り捨てないで! 医学会は、いのちを切り捨てる道に進まないで

古賀 典夫(しょうがいしゃ大フォーラム代表)




障害報酬不正受給事件 支援は誰のためにあるのか

―絆ホールディングス問題から考えるA型の経営と福祉的就労のありかた

坂根 匡宣(ダイアロゴス代表理事 / 社会福祉士 )


平和への祈り―戦後80年を過ぎた今

ぬちどぅ宝 ~五感でたどる沖縄戦の記録、未来へつなぐ平和への願い~

城間 紀野




連載 ロービジョンから見える世界 ⑤

『アクロマトプシア(全色盲)の私』の彩り豊かなファッション事情

芳賀 優子(JD協議員 / 共用品推進機構所属)




連載 国連・高齢者人権条約制定に向けて ⑶

日本の高齢期運動と国連・高齢者人権条約制定運動のあゆみ

鐘ヶ江 正志(日本高齢期運動サポートセンター前専務理事)




新連載 欠格条項と障害者 ~最高裁判決から考える~ 第1回

成年後見利用で失職・欠格条項は「違憲」~旧警備業法最高裁違憲判決の概要~

篠田 達也(弁護士)




連載 エッセイ 障害・文化・よもやま話 

第57回 「当事者アーカイブ」の大切さについて

荒井 裕樹(早稲田大学文学学術院教授 / 障害者文化論研究者)




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